おとなしい言葉でカモフラージュされた、ハーレムもののひとつの境地
更新日:2012/6/7
お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ
ハード : PC/iPhone/iPad/Android | 発売元 : KADOKAWA / メディアファクトリー |
ジャンル:ライトノベル | 購入元:BOOK☆WALKER |
著者名:鈴木大輔 | 価格:450円 |
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不思議だな、と思ったさ。
なにが? って、読後感が。
タイトル通り、「お兄ちゃん好き好き!」とブラコンを公言してはばからない妹と、古びた学生寮でふたり暮らしをして、さらにそこには次々と主人公=語り部に思いを寄せる美少女がホイホイと集まってくる物語なのだが…。もし、今書いた通りの王道ハーレム展開を地でいったら、たぶんそんなに印象には残らなかったと思う。やはりこの作品は、この作品だけが持つオリジナル要素があったのだろうね。
ちょっと小説技法的な話につきあってもらいたい。
読者にとって、突飛な話は受け入れがたい。だけど、どこかで読んだことがある話はもううんざり、というのがあるらしい。そこでひとつの解決策としてあげられるのが、王道をスライドさせるやり方なんだそうな。
どういうことかって?
たとえばこの作品だったら、舞台は学園ものの範疇になるんだろうけど、とても上流な人々が集まるセレブな学校という設定になっている。今までのハーレムものだって、お嬢様キャラは必ず含有されていただろう。だけど、全員がおしなべてお嬢様というのはひとつのスライド例だと思う(当然、お嬢様という下駄を履いているだけで、それぞれが特性を持っているのは言うまでもないけど)。
そしてこの作品のもうひとつの魅力は、主人公が語り部となって読者に向かって説明する形で物語が進行するというスタイル。主人公は、読み手を意識しているのですよ。だから、自分に都合の悪いことは明かさない。ばれるまで黙っている。登場人物が暴いて、初めて明かされていく事実が結構ある。
そんなところも、本作の楽しみのひとつですな。
注意しないとだまされる。銀兵衞の名前は電話にひも付けされているのだよ
「愛に種類なんてありません」…うん、名言だね
ヒロインのひとり、那須原さん。とっても美少女なんだけど…
主人公とのやりとりはこんな感じで、非常に残念というか、おいしいというか