病院の延命治療は拷問でしかない、と著者はいう

小説・エッセイ

更新日:2014/2/22

大往生したけりゃ医療とかかわるな―「自然死」のすすめ

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 幻冬舎
ジャンル:教養・人文・歴史 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:中村仁一 価格:779円

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すごく売れた本である。
新書の場合、すごく売れる本には2つの法則がある。

ひとつは実用面でめざましく役立つ情報が書かれていること。
2つめは、世間の常識をくつがえす新しい知識をスキャンダラスにぶちあげて我々を「ビックリ」させること。この場合へたするとその知識の真偽は二の次になることすらある。

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この本は二番目の要素で際立って迫ってくる。

なにしろ、安らかに死ぬには病院で延命治療するなというのである。管もつけるな、抗がん剤も飲むな、放射線治療、外科手術そんなものは拷問だ、と著者はいう。水は飲ますがそれもいまわの際となると飲めなくなるから黙って衰弱死を待ち、「自然死」させるのが最も苦痛のない、それこそ“自然な”死だというわけだ。

著者は病院勤務を経て、現在社会福祉法人老人ホーム「同和園」付属診療所所長のれっきとした医師。同園でこうして苦しみもなく眠るようになくなった何人もの人を見てきた。これはかなり説得力がある。

しかしこれがほんとだとしたら、えらいこった。だって僕らのみにも将来例外なく関わってくる問題ですもの。

実は僕の父も癌でみまかられたのだが、手術なし、延命治療なしで病院にお世話になること3ヶ月。たしかにほとんど苦しまずになくなったのである。

寝ぼけごとと片付けずに、医学界にも一考願いたい。しないと思うけど。

ああ、花の下にて我死なむ。ますます西行に憧れるのであった。


目次からして読みたくなる項目がずらりと

のっけからかっ飛ばす著者

医療への幻想を覚ます役割も