もう、オトコなんて!と憤慨した日にどうぞ

小説・エッセイ

公開日:2012/6/22

男性不信

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 太田出版
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:eBookJapan
著者名:池松江美 価格:1,100円

※最新の価格はストアでご確認ください。

辛酸なめ子、というペンネーム、あちこちでお見かけしていました。女性ライターで歯に衣着せぬ物言いをする人だという印象。彼女の全体像を知るような記事はあまり読んだことがなかったので、購入。

advertisement

目次を開けば「美醜格差」「擬似恋愛」「女郎蜘蛛」「魔性遊戯」「妄想処女」「女神降臨」ときた。読み応えありそうな予感。1章目からその期待は裏切られることなく、彼女の低音の独白が展開されます。男性に関して相当なコンプレックスを持っている彼女。実生活が赤裸々と綴られてゆくのですが、「オトコ」に対するその嫌悪、するどい観察力、女子校時代の甘い思い出などなど、読者もすっかり「オトコギライ」になりそうな勢いと迫力。

   

「男性不信」な彼女は「私は、下ネタでしか男性と会話できないオンナなのです。…(中略)下ネタを言っているときの、冷笑と羞恥が入り交じった自分の顔は、たぶん醜いと思います。でも、男性と下ネタ以外に何を話せばいいというのでしょうか。他に喜んでもらえそうな話題を知らないのです。」という独特な性格。そして男性向けに下ネタのウェブ日記を書き始めた彼女は男性不信でありながら、「世の男性の注目を集められるという確信がありました」。一見相反するような言動と行動ですが、彼女の中ではきれいに収まってしまいます。確かに、女性の中で、彼女のような経験をする人も、考え方をする人も少数派なはず。なのに、なぜか理解できてしまうのは、女性なら誰しも多かれ少なかれ持っている、性差ゆえの男性に対する不理解を上手に代弁しているからでしょうか。

マッチョな人もフェミニズムな人も、極端になると読むのも苦しいですが、彼女の場合、経験してきた内容が特異なのでおもしろおかしく一気に読了。これまで男性に苦労がなかった方には、おすすめできません。そうでない方、「オトコなんて!」と思ったその日にさくっと読むのが爽快かも。


冒頭部。ペンネームの由来でぐっとひきこまれます

彼女独特の男性ルールは相当に変わってます

ゆるくエッチなウェブ日記をつけ始めて、興奮する読者とそれを笑う作者

フランス人オトコとの接触も (C)池松江美/太田出版