市場主義はどこまで有効か? マイケル・サンデルの最新作

小説・エッセイ

更新日:2012/6/29

それをお金で買いますか 市場主義の限界

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 早川書房
ジャンル:ビジネス・社会・経済 購入元:BookLive!
著者名:マイケル・サンデル 価格:1,646円

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ある大企業の幹部が20年前、飲み会の席で「お金で解決できない問題は(ビジネス上)ほとんどない」ということを話していたのを聞き、当時若かった私は強い反発を感じたことを覚えています。この20年、すべての面で市場化が進み、当時の言葉は、あまり違和感がなくなったのかもしれません。しかし、その市場化の流れもリーマンショック以降大きく変わり、市場主義の行き過ぎが指摘されるようになりました。東日本大震災の影響もそれを加速しています。

「今回、マイケル・サンデル先生がこの難しく、ホットなテーマを取り上げました。本書内では議論のテーマとして「行列に割り込む」「インセンティブ」「いかにして市場は道徳を締め出すか」「死と生を扱う市場」「命名権」などを取り上げています。先生一流のディベートの手法で、まずは「行列にお金をはらって割り込む」ような、通常日本でも裁判所の聴講券をアルバイトをやとってならんでもらう行為レベルの議論からはじまります。そして、「人気キャンプ場の宿泊予約」「ダフ行為のどこが悪い?」など少しずつ難しいテーマに挑んで、議論がすすんでいきます。

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市場化の行き過ぎが指摘されている現状ですが、今の日本にはまだまだ市場化すべき点もあり、どちらが良くてどちらが悪いというのは一概にいえない問題ばかりです。課題ごとに知見やルールが違うというのは本当に難しい問題ですが、社会を良くするためには進んでいかないと意味がありません。

ぜひ読み終わってから、読んだ時間にかけたぐらいの時間をかけて、この本から投げかけられている問題を考えてみてはいかがでしょう?


資本主義とは何か、民主主義とは何かについて、改めて考えさせられます

チェックインの行列に並ぶことを嫌がって、飛行機のステイタスをとる。あるいはビジネスクラスに乗るという事例から話は始まります
※画面写真は紀伊國屋書店BookWebのものです

インセンティブがどのような場面で効くのかについて、それは道徳的にどうなのかについて議論します

だいたいのことはお金で解決できる。反発を感じながらも、そうかもしれないと思える時代です
※画面写真は紀伊國屋書店BookWebのものです