おっさんのギャグセンスを持つ女子高生、ここに降臨

「もったいないなぁ」あるいは、「じらされてる？？」
それが本書の読後感。なにか、もうひとひねりありそうで…。とか、次のシーンでとんでもないことに…。そんなときって、楽しみなんだけど、ページをめくるのが怖かったりもするもんだよね。でも、そんな心配はまったく不要の底抜けに明るい話だったよ。

この物語、冒頭でいきなり「借金の形に」ということで、主人公の女子高生が男ばかりの家に丁稚に出されてしまうんです。ま、最近のパターンだと描写はぎりぎりでも、基本的にはエロ本と大して変わらない筋書が待っているような予感がしました。

ところがどっこい。立場逆だろ！？な展開ですよ。主人公の誉ちゃん、発想がまるっきりオヤジです。状況としては、3姉妹の家庭に男が押しかけてきたようなことばかり。古い話で恐縮だが、「オヤジギャル」なんてのがバブルの頃には生息していた。怖じけず、ひるまず、やりたい放題。誉もまさに、そんなキャラクターだ。だから、読者に嫌悪感を植え付けるようなオヤジキャラがいなくても、そっちの方面の笑いがとれる。一方、押しかけられた3人の兄弟の方には、これといって特徴がないのだが。誉に振り回されることで、少しずつ内面がにじみ出たりして、これはこれでありなのかな。

タイトルは「まにあってます！」だが、まにあっているのは兄弟の方で、この物語は誉が思う存分、妄想の限り暴れ回る話だから、「暴れん坊、誉」とかでもよかったんじゃなかろうか？と思ってしまったよ。