これは珍味ではない！王道のハードSF漫画だ！

理屈っぽいと、言われることはありませんか？
私はとってもよく言われます。自覚症状もあります。なにしろ、理屈が理屈であるその事が大好きだからです。秩序や法則が好きと言ってもいいでしょう。何かしらに内在しているであろう秩序を、分析したり、アレコレ推測したりするのが非常に楽しいお年頃なのです。（極論を言えば、対象自体は何でも良いのかもしれません）そう言われるとそうかもなぁ、なんて方もいるんじゃないでしょうか。

―――そんな理屈フリークにオススメなのが本作であります。

本作は、世界的ヒット作「攻殻機動隊」で知られる士郎正宗先生のメジャーデビュー作。いやはや、モノの見事に理屈っぽい！ どこから読んでも理屈っぽい！ 理屈っぽさの金太郎飴みたいなSF漫画であります。

クローンや生体工学などのバイオ技術や、メカトロニクス、ロボット工学に兵器。徹底した理論構築がされているSF技術の数々はヨダレがでるほどの出来栄えです。生物をモチーフにした、メカのフォルムも独特です。実際の科学理論に立脚しているだけあって、読んだだけで頭が良くなったような気さえします。

もちろん近未来都市を舞台にしたタクティカル・アクションとしてもよくできています。戦争と平和、人間の業が織りなすドラマも全然色褪せてはいません。SF作品にありがちな、設定偏重、キャラ軽視ということもなく、人物達もよく作りこまれています。また、描き込みやセリフ、解説などが多く、1コマ1コマの情報量が非常に多いにも関わらず、不思議なほどメリハリのあるスピード感は絶妙です。これがデビュー作なのが信じられませんが、未完のまま凍結されている事が惜しまれます…

しかし、未完と言えども理屈フリークなら1コマでご飯3杯くらいいけるはず！ ホラ、そこの理屈っぽいアナタ！ 白米を炊いてレッツトライ！