小学生特有の無性別感と、トランスジェンダーのお話
公開日:2012/7/19
放浪息子1
ハード : PC/iPhone/iPad/Android | 発売元 : KADOKAWA / エンターブレイン |
ジャンル:コミック | 購入元:BOOK☆WALKER |
著者名:志村貴子 | 価格:450円 |
※最新の価格はストアでご確認ください。 |
マンガだからね、何でもありなんですよ。『らんま』とか、ああいう風に性別が入れ替わるのだって、誰もその設定には突っ込まない。だけど、『放浪息子』はちょっと違う。
一見、すごく自由に描いているのだけれど、女の子にあこがれる二鳥くんはとてもかわいく描いてあるけど、やっぱり男の子で。そして男の子になりたいと願う高槻さんも、やっぱり女の子の呪縛からは逃れられない。そういう不自由な感じを、丁寧に、不思議な間を持つ語り口で、積み上げている作品なんですね。
だからね、変に世渡り上手じゃない小学生の「生きにくさ」みたいなものがみえてくると、読み進めていくのが大変になる。もちろん、いい意味で。柄にもなく、登場人物の行く末にドキドキさせられるんですよ。
志村貴子さんのマンガの特徴だと思うのだが、非日常設定の日常を上手に語るよなぁ。と感心せずにはいられないんだよ。特別なビッグイベントが用意されていたり、最終目標がセットされている物語ではないです。そういう意味では、日常系ってヤツなんでしょうかね。
でもね、本当に日常をそれこそ日記のように描いただけなら、商品価値なんてないですよ。日常から半歩踏み出した小学生たちの姿を、特別な事件を通して描くのではなく、彼らの日常の中だけで、きっちり描いてみせるから惹かれるんだろうな。モブキャラなんかも、いかにも小学校にいたようなヤツばかりだしね。
開き直って突き進むわけでもなく、かといって歩みを止めるわけでもない。行きつ戻りつしながら、悩みつつも日々を送る彼らの姿を、ふわふわした不思議な語り口で描き続けるのは、通常の物語を創るのとはまったく別の筋肉を使っているように思えてならない。
素で先生にまで女の子に間違われています
一方高槻さんは、かわいい服にはまったく興味なし
学ラン少女の高槻さんは、二鳥くんにセーラ服をプレゼント
そして不思議なデートに誘うのですよ
学校のお芝居でも、ファミレスでも、ふたりの格好は…