NHK広報局・蝉丸P・安全ちゃん…「中の人」たちの素顔が見える!?

公開日:2012/7/23

中の人 ネット界のトップスター26人の素顔

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
ジャンル:趣味・実用・カルチャー 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:古田雄介 価格:1,050円

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「理想は、悪じゃないほうのクラスの人気者」
「1回書いてみて、自分がおもしろいと感じるかだけが基準です」
「私、ここ半年、家族以外でこんなにしゃべったの初めてですよ」

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アキバblogやザイーガ、安全ちゃんオルグ日記、ニコニコ仏教講座まで、ネットをよく見る人であれば1度は必ず目にしたことあるサイトの運営者、いわゆる“中の人”に迫ったのが『中の人 ネット界のトップスター26人の素顔』だ。

本書は「累計で5年間、合計103名の“中の人”たちにインタビューしたという「古田雄介の“顔の見えるインターネット”」が元となっている。連載から22人の方に追加取材を行い、新たにTwitterで有名なNHK広報局にインタビュー、さらには、日本のポップカルチャーを世界に向けて紹介するカルチャージャパンに、かつての連載を元に一から再取材をしている。そのため充実した内容なのはもちろんのこと、インタビュー当時から現在までのネットの変化も垣間見ることができる。

例えば、嘘のニュース記事サイトの投稿で有名な『虚構新聞』はインタビューから3年が経ち、サイト記事の書籍化からTwitterが普及したことによる反応など、それぞれの環境の変化を追いながら読むと興味深い。

また、インタビューの合間に挟み込まれる「インターネットから顔を見る」というコラムでは、ウィキペディアやTwitterといったサイトに関する古田氏独自の考察や、インタビューの際の情報収集の方法などが書かれており、インタビューをしている側が一体どのようなスタンスで“中の人”たちを取材し、文章を構成したのかがわかるようになっている。

「これまで挙げたような調査をしても、ネット上に人となりがほとんど面に出ていない方も中にはいました。(中略)実際に会ってみるとシミュレーションからかけ離れた人も少なくありません。まあ、当たり前のことではありますが、手が届く範囲にある限られた情報だけで人物像を作るクセがつくと、つい錯覚したり、判断を見誤ったりしてしまうんですよね」

だからこそ、実際に取材し、ひとりひとりの声に真摯に耳をかたむけてつくられた本書からは、有名サイトを運営しているそれぞれの“中の人”たちの普段見せることのない素顔が浮かんでくるようになっている。それぞれがどのような姿勢で情報を取り扱い、どんな思いで発信しているのか、ネットの外側だからこそ聞くことのできるたくさんの本音が詰まった本だ。


(NHK広報局のインタビュー)理想は、悪じゃないほうのクラスの人気者という言葉はNHK広報局の人となりが見える部分も

(虚構新聞のインタビュー)サイト設立日まで嘘の混じった『虚構新聞』、実際のインタビューに嘘はないように思えるが…

(蝉丸Pのインタビュー)インタビューは実際会うだけでなく、Skype等も利用して行われるという。実際の顔を知る手段自体が多様化しているということだろうか

(僕の観た秩序。)インタビュー 三年前まで顔写真を公開しなかったヨシナガ氏も、環境の変化から様々な場面で露出するように

著者コラム『それでも顔が見えない人も』  密にコミュニケーションをとるまでは、事前情報全てを「仮モノ」と考えるという姿勢はわたしたちがSNSを使う際にも気をつけておくとよいことかもしれない