名作中の名作。夏休みの全巻読破はいかが?
公開日:2012/8/4
火の鳥 (1)
ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android | 発売元 : 手塚プロダクション |
ジャンル:コミック | 購入元:eBookJapan |
著者名:手塚治虫 | 価格:216円 |
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いわずと知れた、手塚治虫の最高傑作のうちのひとつ「火の鳥」。こちらも電子書籍で登場です。まず驚くのはこの値段。この名作が200円台、300円台なんて、よいのかしら?! 手塚治虫の漫画には、本当に幼少からお世話になっています。いまだに何度も読み返す作品ばかりですが、火の鳥に取り組む前にはやはり多少の心構えが必要。それほど、大きく深い作品だと思います。
その生き血を吸えば、不老不死になるであろう火の鳥を巡って繰り出されるドラマ。黎明編、ヤマト編、鳳凰編などと、それぞれの巻により全く違った時代・地域区分の中で、火の鳥の捕獲を夢見る人間ドラマが展開されますが、幼少のころから、第1巻の黎明編には何か畏敬のような念を禁じえませんでした。
クマソの国に上手く取り込んだグズリ。その村長の娘と上手く婚姻関係を結ぶや、自国の軍隊に知らせ、妻の村を侵略する。卑弥呼の若さへの執着も、猿田彦の簡潔な人物像も、グズリの狡猾さも、人間の中にある様々な情念や特質がそれぞれのキャラクターに凝縮され、その熱い人間ドラマに、あぁ! とため息ひとしきり。こんな小さい画面だというのに圧倒されてしまいます。コマ割も、タッチの効果も現代作品と比べればまるきり地味なのに、心に染みゆく形や構図。露出なんかまるでなくても魅力的すぎる女性像。男たちの画策や野望。人間の絆。天才、天才、天才! と、その言葉しか頭に浮かびません。
物語の壮大さ、展開のスリルと同時に基調となる安定感、ずっとずっと読み続けていた気持ちにさせられる世界観。何をとっても素晴らしいの一言につきます。こういった本当の「大作」、人生のうちに何度も読み返し、時間の経過で違った感情移入や、違った角度からのアプローチを何度も楽しめます。漫画を越えた漫画。座右の書として全巻そろえるのも悪くありません!
その生き血を手に入れるべく、数々の人間がいのちを落としてゆきます
クマソの国に、グズリの密告で敵国が侵略に。このリズム感が生む恐怖
神のお告げを伝える巫女、ヒミコも寄る年齢には勝てず
このウズメのキャラクターも最高にスパイスが効いてます!(C)Tezuka Productions