37歳のトップアスリート、室伏広治選手が競技人生の全てを語りつくす

37歳にして金メダルを期待されるトップアスリート室伏広治選手。今回は、銅メダルという結果になり、やや残念な気もしますが、それでも競技に必要とされる身体能力と室伏選手の年齢を考えると、偉業を成し遂げたと言えます。

年齢を重ねてもさらなる進化を遂げる室伏選手の“秘策”が詰まったのが、今回ご紹介します『超える力』です。現役の今だからこそ伝えたいことがあると考える室伏選手は、著書のために時間をとられることを懸念する声もある中、4年越しの悲願だったこの本を執筆したそうです。

これまでのアスリート人生の軌跡、ハンマー投についての研究とさまざまな実践の成果を語りつくし、自らの将来展望にも言及する本書。室伏選手が何を考え、いかにハンマー投という競技に魅せられ、競技を続ける中で何を超えてきたのか、その全てがこの本で語られています。

父親という存在を超え、ハンマー投の世界のトップレベルである80メートルを超え、ライバルを超え、心のあり方や考え方を追求し、自身の未熟さに挑み、人間として成長し、年齢の限界を超えるべく前に進み続ける室伏選手。恵まれた身体能力と環境を持った室伏選手ですが、必要とされることを見極める力と、それを実行し、努力を続ける意思がなければ、何も「超える」ことはできなかったはずです。

本書では、アスリートであると同時に、ハンマーそのものの動きを解析する研究者として大学で研究を続ける室伏選手の、研究熱心な一面も知ることができます。なんでもとことん追求していく姿は「さすが」の一言です。

世界で活躍する中で多くのことを乗り越えてきた室伏選手の生き様は、アスリートだけでなく、ビジネスの世界に生きる人々等、多くの人々の参考になるはず。何かを「超えたい」と切に願う全ての人にお勧めの1冊です。