豪華リマスター版! ピュアな2人がキュンキュンさせてくれる甘酸っぱい感動が君に届け

公開日:2012/8/11

君に届け リマスター版 1

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 集英社
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:椎名軽穂 価格:400円

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何年も前から気になっていた少女マンガ『君に届け』をやっと読むことができました。初見なのに“雑誌掲載時の著者カラー原画を収録した”豪華なリマスター版で。いやぁ、なんだかファンの方に申し訳ない。ごちそうさまです。2008年に、第32回講談社漫画賞の少女部門を受賞。映像化もされている人気作です。

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「爽やかで、笑えて、胸キュンだから!」と周囲から勧められていたので、やっぱり爽やかな女の子と男の子が出てくるんだろうなーと思っていたら、意外なことに、主人公は「貞子」なんてあだ名が付いている内向的な女の子。「関わると霊的なものが振りかかる」とみんなから恐れられ、避けられています。あだ名の由来は、黒い長髪でいつも陰気だからとか。名前は「爽子」なのに。ちなみに苗字は「黒沼」で、下の名前のイメージと真逆でなんとも皮肉…。

でも、この爽子ちゃん、じつはとてもピュアで人の役に立つことが好き。陰ながら、みんなが嫌がるクラス係などをすすんでやっているのだけれど、誰も気づいてくれず。そんな彼女に優しく接してくれる男子が登場します。クラスで人気者の風早翔太くん。誰に対しても明るく爽やかで、超王子気質。彼が、周囲が抱く爽子の誤解を解いていきます。1巻から、「もうくっついちゃえよ」という胸キュン場のオンパレード。突然に訪れたシンデレラ的展開に爽子は戸惑いながらも、自分の殻を破っていき。この手の、ピュアな男女がキュンキュンさせてくれる物語は市場に氾濫していて、「リア充爆発しろ」ってな感じでページをめくるのがしんどくなったりするものですが(年をとって薄汚れていくとますます…)、本作は2人のピュアさが突き抜けているので、しぜんと応援したくなるのです。

ちなみに、人の言動を前向きに捉えることって、人育てで大切なことですね。会社では、上司が部下の言動を認めて仕事の自信に繋げていくし、保育現場でも保育者は子どもの言動を前向きに捉え、成長に繋げていきます。例えば、子どもが友達とけんかをしても、それをネガティブと捉えずに、子どもの話を聞き、様子を見、子どもひとりひとりに合った援助をすることで、協同性の発達などのための糧としていきます。保育雑誌や保育図書の編集や制作などを通して、つくづく、保育って人格が求められる仕事なんだなぁ、と保育者に尊敬の念を抱きます。

で、本作の話。
“王子くんマジ王子”な風早くんなわけですが、彼が爽子の言動を認めることで、爽子は変化を見せていきます。人が人を変える、成長させるって素晴らしい。好きな人に自分を変えてもらう、成長させてもらうってなんて幸せだろう。あらためてこんな気持ちにさせてくれる感動が読者の君に届け、って感じです。


爽やか感動作の主人公にピッタリ?…な、黒沼爽子(15歳)=右のコマ

笑顔も超爽やか。マジ王子な風早くん(1番下のコマ)

肝試しでお化け役を引き受けた貞子…じゃなくて爽子。適役ではありそうだが

肝試しの最中に風早くんがやってきて、まさかのキュンキュン展開に。1巻からペース早くないっすか?