はがない的な『よだかの星』?

更新日:2013/12/2

僕は友達が少ない 1

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : KADOKAWA / メディアファクトリー
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:いたち 価格:463円

※最新の価格はストアでご確認ください。

始まりましたね、『はがない(『僕は友達が少ない』のひらがな部分のみを取った愛称)』のアニメ放送。放送情報は公式ホームページを参照。

「意外にハマった」「原作に忠実で嬉しい」「というかリア充は爆発しろ!」などと、某掲示板や某つぶやきコミュニケーションサービスで、好評の声が多数見られます。

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『僕は友達が少ない』ってタイトルで、「どんな物語だよ」って突っ込みを入れた人は私だけではないはず(異論は認めます)。
ヒロインは美少女2人。「友達がいない男子が、替わりに両手に花状態になる、うはうはハーレムストーリーだろ?」って思っちゃうじゃないですかねぇ…?(異論は認めます)

いや、結果的に、これはみごとなカモフラージュでした。
両手に花状態どころか、ある意味で、左右をエネミーに挟まれる、みたいな。
本作の内容を簡単に説明すると、友達が少ない残念属性のキャラクターたちが、友達を作ろうという目的にために設立された「隣人部」に集まり、ドタバタ劇を繰り広げるというもの。友達が少ないキャラたちっていっても、自分が残念属性だから、そりゃ友達が少ないだろうよ、って同情の余地なしですが。

ネット用語やパロディなど随所に出てきて、ギャグ偏差値は高めですが、まあそれはそれとして。ついてこれなくても、フツーに登場人物たちはキャラ立ちしているので、おもしろく読めちゃいます。

ところで。
かの童話作家・宮沢賢治の短編童話に、『よだかの星』という名作があります。みんなに嫌われている、みにくい姿の「よだか(夜鷹)」が、最後は自分の存在理由を求めて、空高くに舞い上がり、燃え尽きて星になる、という悲しくてシュールな(?)物語です。例えば、小学生の道徳の授業で差別問題を考えたり、もう少し年齢が高くなると、自らの存在意義や自己犠牲について考えたりする題材として用いられています。

もうお気づきかもしれませんが、『はがない』の主要3キャラクター(羽瀬川小鷹、三日月夜空、柏崎星奈)の名前を組み合わせると「夜鷹の星」となり、これは私個人の推測でしかありませんが、どうも本作の根底には、「自己とは?」「人間関係とは?」という深いテーマが横たわっている気がしてならないのです。舞台である聖クロニカ学園(高等部)はミッションスクール校。つまりキリスト教主義で、自己犠牲を尊いものとしている節がありますし。

多感な若者の時期はとかく自己主張をしたいもの。でも、自己主張をしすぎると友達ができない。友達は欲しい。が、主張を抑えて自己を犠牲にしたくない。というこのスパイラル。

『はがない』に哲学的なものを求めるも良し。終始爆笑するも良し。続刊もアニメも120%楽しんじゃいましょう。


主要3キャラクター(のうち2人)…

…そして主要キャラ、あと1人。黒髪と金髪の美少女。ハーレム状態…ってわけじゃないのが悲しいね

「友達作り」のために、隣人部に入りませんか?

いつもバトってる、ヒロイン(!?)2人

高尚な趣味です、エア友達。あなたもやってみよう!

こういうシーンもたまにあるが、デレるわけではないという…。にしても、こんな笑顔を間近で見られるなんて羨ましいですね爆発しろ!