実は少女漫画という衝撃の事実! 異端過ぎる女子高生漫画再び!!

公開日:2012/8/30

栞と紙魚子と青い馬

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 朝日新聞社
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:諸星大二郎 価格:432円

※最新の価格はストアでご確認ください。

日常と非日常は、フィクションの要だとよく言われます。これらを行き来することが、刺激的な体験になるんですね。

advertisement

しかし、本作はちょっと違います。めまいのする怪現象が多発する漫画ですが、胃の頭町に日常と非日常の区別はないのです。絶妙に馴染んだ第3の世界とでも言いましょうか…。フツーの日常と理不尽でシュールな世界の切り替えが全く無いので、栞がよく陥る「知らないうちに見覚えのないところに来ちゃったわね」を地で体験できるというワケです。

さて、前巻に比べ、ホラーあり、ドタバタあり、奇譚ありと、バリエーションに富んだ話が盛り沢山! 新キャラ“蔦屋敷のお嬢様”こと鴻鳥友子(こうのとりともこ)も本巻より参戦です。

人肉食に狂った先祖の霊に取り憑かれ、時々人を食べようとするのは玉にキズですが、天然なお嬢様キャラまで登場するとは! 栞と紙魚子シリーズは、ますます鉄壁のキャラ布陣になりつつあります。そして、マトモな人の減少はさらに加速の一途を辿ります。濃霧の日に出現するバケモノ市の面々や、胃之頭高校へ同窓会(と称して勝手に)に集まる妖怪達など、非人間の人口は右肩上がりです。個人的には、クトルーちゃんのお母さんが1番常識人なんじゃないかと思う今日この頃であります。

クトルーちゃんの“母方のおじいちゃん”が実家から(異次元から)遊びに来る(召喚される)というムチャクチャな事件が勃発したりもしますが、言動や気遣いなどは正に才色賢母。あの巨大な顔を見る限りでは、器量も良し。…良し? 夫の段先生は奇行で知られる変人小説家、という触れ込みですが、なかなかどうして女性を見る目は間違いなさそうです。うらやましいようなうらやましくないような…。日本男児憧れの外国人妻。―――おじいちゃんの様子を見る限り、一体どこの外国なのかは考えないほうが安全でしょう。

そうそう、このおじいちゃんの一件以来、ムルムルという謎生物が胃の頭町の生態系に加わるのですが、クトルーちゃんのお母さん曰く「佃煮にすると美味しい」とのこと。…ちょっと食べてみたいとか、だんだん美味しそうに見えてくるから不思議です。


友子お嬢様ご乱心!

ムルムルは生でもいけるようです

ご近所への気配りも抜かりない奥さん
(C)DAIJIRO MOROHOSHI