大人の恋を描いてきた著者が『なかよし』で描く恋

複雑な家庭の事情に加え、新しい学校には友達もいない。悩み多き中学1年生の遠藤香菜は、若くてイケメンの町長さんに恋をする。優しくて素敵な町長さん。しかし彼には妙に親しいエロ漫画家の怪しい男友達がいた。『娚の一生』や『姉の結婚』などで大人の恋を描き大ヒットした西炯子が、雑誌『なかよし』で女子中学生の淡い恋を描く。

なるほど、こちら『なかよし』で連載中なんですね。だから今までの西さんの作品とは視点やテイストがちょっと違うんだなと納得。中学生対象作品になってはおりますが、アラサーの私でもすごくおもしろく読めました。

主人公のカナちゃんとクラスメイトのアキラちゃんの2人の女子中学生が本当に可愛くって魅力的。でも、見ているこちらがハラハラするほどに好奇心旺盛で行動力があってちょっと心配。カナちゃんは町長さんの家に夜いきなり押しかけちゃうし、町長とエロ漫画家の2人の関係を疑うアキラちゃんは、天井から2人のことをのぞき見したりするし。そしてきちんと発見されてしまうという子どもっぽいドジっぷりも発揮。ちょっと大人なアキラちゃんはそうやって色々勘ぐっていますが、まだまだ子どもなカナちゃんは同じ香水をつけている町長さんとエロ漫画家の2人を「仲良しなんだなぁ～」と純粋な瞳で見ています。そんなカナちゃんの純粋さを知ってか知らずか「2人だけの秘密だよ」とかなんとか言っちゃって魔性の男（？）ぶりを発揮する町長さん…いい人なんだか悪い人なんだか。

町長さんと結婚することを夢見るカナちゃんですが、やっぱりカナちゃんはいつか傷ついてしまうの？ そう思うとなんだか悲しくなってきた。中学生の頃って、大人の男の人に恋をする年頃ですもんね。わかるわかる、と、いつの間にやら娘を見守るお母さん目線です。果たしてカナちゃんの恋はどうなるのか。そしてこの男2人はやっぱりデキているのか！ 続きが気になるところです。