尾木ママの今どき教育指南は親向きにあったか目線

公開日:2012/9/1

尾木ママの親だからできる「こころ」の子育て

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : PHP研究所
ジャンル:趣味・実用・カルチャー 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:尾木直樹 価格:500円

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小学生の男子を持つ母としては、夏休みというインターバルを使って、たまにはじっくり教育系の本を読んでみよう! と、3冊の教育関連本の勝手に読み比べを敢行。まずは、大人気の教育評論家・尾木ママの『親だからできる「こころ」の子育て』。

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冒頭から、いい大学に入っていい会社に入れば幸せという時代が終わった中、大事なのは「世界とつながっている」という意識をもったこころの教育が大切と説くあたりは、現実感のある「理想論」でグッド。世界に比べ日本の子供たちの自尊感情が低い傾向にあることへの注目や「いい子」プレッシャーの増大など、近年の発達心理学や教育論ではいわれ続けていることを、保護者向け(特に母親向け)にわかりやすく書いた意義は大きいと思う。

なお、それらを解決していくために、本書が注目しているのは、タイトル通りに「親」。親だからこそ前向きに取り組めることはあるし、それを比較的具体的なところから指南するというスタンスが基本で、「正論!」と納得する一方で、ちょっとプレッシャーに感じる向きもあるかも…。実際、不況が続き、親世代自身が「幸せ」のあり方について疑問を感じている時代にあって、余裕のない親は増えているのが実情だ(ある意味、モンスターペアレンツも子供中心に考えているようでいて、実は親の余裕のなさを露呈する存在だったりもする)。そんな中、少なくともこうしたタイトルの本を手にとる「意識的な親」たちを大事にし、少しでも目覚めさせていくということが、こうした本の役割なのだろう。

3冊の中では、1番、レンジの広い教育論(しかもあったか目線)という感じだし、既成の「いい子」概念に捕らわれず、自然な姿を受け入れろというメッセージは根本的に強くわかりやすい。ちなみに現在ホットな「いじめ」に関しては、加害者になることに警鐘をならすというスタンス。なお、各章にまとめがついているので読みやすく理解を助けてくれる。実例エピソードの多い本の場合、端的なポイントが流れていってしまうことがあるので、こういうまとめがありがたかったりするのだ。
電子書籍だと目次からすぐにこの項がピックアップできるからなおさら便利で、「忘れちゃいけない子育ての心得」的なインパクトが増す気もする。


「はじめに」より。この本にこめられたメッセージがたっぷり

目次より 全4章で構成はシンプルにわかりやすい

1章まとめ その1 各章でのポイントを最後におさらい

1章まとめ その2 各項のボリュームも手頃でちょうど頭にはいるサイズ