読むほどに、怖い…依存する女の実態

更新日:2012/9/10

依存症の女たち

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:ビジネス・社会・経済 購入元:eBookJapan
著者名:衿野未矢 価格:486円

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買い物や、電話、メールの受送信や、飲み会。異性との付き合い。誰もが日常生活の中で、その人なりの頻度を持って行っている「習慣」が「依存」になる瞬間というのは、実際、見極めが難しい。

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いまや、ケイタイ画面の「頻繁なチェック」もそれだけでは「異常」とは言われないし、奔放なセックスすら安全性さえ守っていれば、「そういう人もいるしね…」といわれておしまい。それでも日常のこうした習慣の中に囚われて、その奴隷になっている人たちが沢山いる。奴隷になってしまった人たちは、心の奥底から悲鳴を上げている。寂しい、わかってもらいたい、ひとりでいたくないなどという、あまりに一般的な人間の本能的な叫びが体から出せずに、依存症に陥る。正直にその叫び声が出せないのは、何故なんだろう。

読めば読むほどつらくなるような話が満載なのですが、読破せずにはいられない誠実なリポートです。登場人物は、全て女性。アルコール中毒などは男性のほうが比率が高いようですが、買い物依存、携帯依存、不倫依存、リストカット、衝動買いなどなど、やはり女性のなりやすい依存症なのかもしれません。

著者は依存症におちいりやすいタイプをまとめていますが、それは、かつて「よい」とされた女性像。「控えめで、他人の意見を尊重する。世間知らずでスレていない。怒りや哀しみは内に秘めて外に出さない。周囲との和を大切にする」こうした性格の人が、依存症を起こしやすい、とか。どんな依存症の人のプロフィールも、まったく自分にも起こりうる環境。何も、依存症になるのは、特別な家庭環境も、悲惨な生い立ちもいらないのです。そのことに驚愕。どの例も著者が丁寧に話を聞いて取材したものばかり。やりきれない話ばかりで、心が暗くなりそうですが、少しでも心覚えのある方には、ぜひ。とてもよい教訓となってくれる1冊です。


表にその症状が表れにくいのが、現代の依存症の診断の難しさ

依存症になりやすいタイプ。誰もがちょっとギクッとしてしまいます

衝動買いも、「たまに」が習慣になってしまったらアウト
(C)衿野未矢/講談社