今最も旬な、世界が認めた映画『あなたへ』主演・高倉健の初コラム

小説・エッセイ

更新日:2014/12/1

デコボコの道

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 日本経済新聞社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:高倉健 価格:514円

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日本経済新聞電子版で掲載されている高倉健のコラム集。東日本震災後、こころにムチを打ってくれた少年の写真。出演映画を1回も褒めずにこの世を去った母への想い。出会った名優、友、スタッフたちとのエピソード。電子版のみに収められた写真集。そして、映画『あなたへ』の撮影舞台裏。どれもが、シンプルな文章とオーラを放つ写真でつづられ、私たちの心を深く優しく包み込んでくれます。

                          

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現在公開中の映画『あなたへ』は世界モントリオール映画祭でエキュメニカル審査員特別賞を受賞したばかり。今がまさに読みごろ! 台本に東日本大震災で被災し懸命に生きている少年の写真を張り付け、撮影に挑んだなど、画面では到底知ることのできないエピソードも書かれています。私が感動したのは、電子版だけに収められている写真集の凄さ。春夏秋冬で分かれている1枚1枚が、まるで映画のポスターのよう。これが俳優さんなんだなと尊敬してしまいました。

でも次のページを開くと、見たこと・感じたこと・想いが、飾らないありふれた言葉でつづられており、親近感。読み終わったあとには、「高倉健は遠くて近い存在なんだな」という気持ちになりました。たとえば、「自分には芸がないのだと思います」とはっきり断言している箇所。だから体当たりで役作りをするしかない不器用な俳優と明かしているから驚き。目つきが悪いなど罵倒されて涙の日々、演技論がないからがむしゃらに努力するしかなかったなど包み隠さず淡々と語っています。

読み入って共感していると、映画スターとしての武士役姿の写真がパっと表示される。やっぱり高倉健はすごいと電子書籍ならではの写真と文章の移り変わりで感じさせてくれます。この秋、日本を代表する俳優・高倉健の“素”を知り、『あなたへ』を見に劇場へ足を運びたくなるようなコラム集でした。


台本に貼り付けた写真

私のお気に入り!by写真集

現代に必要な映画なのかも

んー映画がみたくなってしまう!