水着回もあるよ! ポロリはないけど!!

ライトノベル

更新日:2012/10/3

おれと一乃のゲーム同好会活動日誌〈その1〉ごく個人的な世界の終わり

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : KADOKAWA
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:葉村哲 価格:463円

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それは痛々しい、中2病全開の会話から始まる。とんでもないルビだったり、二つ名だったり、と―。これぞまさに、ライトノベルっぽいものを書いてみよう! と思い立った初心者が踏むであろう轍を踏みまくっているようにすらみえる。けれど読み終わったとき、それがいかに危険な要素でも、プロが扱うときちんと料理できるということを知らしめられて、ぎゃふん! と思うはず。まさに著者の思うつぼ、だったわけです。

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本作の世界は至ってふつう。でも、ヒロインたちは異能の持ち主。ふつうっぽい世界の不思議を書くのではなく、異能者がいるのにふつうの世界を書く。なんだかもったいないような物語なのです。いや、タイトルにもあるように『日誌』ですから。物語ではなく、日常を切り取ったような短いストーリーの集まり、と呼ぶべきかもしれない。

たいていのライトノベル同様、やっぱり主人公はモテまくる。自覚があろうとなかろうと、おいしいところは全部持って行く。ところが一方で、ふつう読者は主人公に最初から興味があったり、感情移入することはないという現実があるのですよ。本作の主人公、宗司くんが何故に主人公たり得るのか? ネタバレになるので詳しくは書かないが、主人公である宗司とヒロイン一乃の出会いがなぜ最終章に配置されているのか? そこに著者のプロたるゆえんを感じた。

最終章の宗司くん、かっこいいよ。でも、冒頭にこの場面があっても同じようにかっこいいと思ったかどうか。とどのつまりは、言葉で飾るのではなくて、何気ない『日誌』の中で積み上げていった宗司くんの行動で、初めて宗司くんは主人公としての特殊性を持ち得る。ということじゃないでしょうかね。


異能者はいるけれど、使い道は特にない世界…

異能者なんだけど、メイドコスプレして主人公の気を引こうとする

響きはかっこいい異能。でも、代償だけで特に役に立つことはない

役者がそろって参りました!

こつこつと主人公のキャラクターが積み上げられていきますな