素直じゃないお嬢様の、空回りっぷりが楽しい一冊!

ライトノベル

公開日:2012/10/11

れでぃ×ばと!

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
ジャンル:ライトノベル 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:上月司 価格:599円

※最新の価格はストアでご確認ください。

共学化したばかりの、超お嬢様校にいる数少ない男子生徒が主人公の…。と来れば、誰もが思い浮かべる展開があるものですよ。まあ、お約束というか。ギャルゲーみたいな話、とでもいいますか。どこにでもいるような無個性な主人公が、特に理由もなくモテまくる話ってやつです。この『れでぃ×ばと!』も、お嬢様校に新設された執事養成科に転校してきた秋晴くんがお嬢様たちと…まあいろいろある話です。

advertisement

でもね。主人公の秋晴くん、とてもキャラが立ってます。眉には傷があり、耳には安全ピン、そして当然のごとく茶髪。おじさんからみると、絵に描いたようなやんちゃな高校生。一般的にはただの不良少年ですよ。どう考えても、ライトノベルの読者が自分を投影できるようキャラじゃないと思うのです。設定だけ見たときは「これ、大丈夫かな?」と半信半疑でしたよ。しかもライトノベルを支える両輪のひとつ、イラストは『朝まで授業chu!』のむにゅうさんによるもの。ホントに大丈夫なの? マッチングとれるの?? と心配しました。

杞憂でした。ちゃんとライトノベルしています。秋晴くんと一緒に、ドキドキできます。その理由は描写の細かさ、というか密度にあると思うんです。とても親切です。ゆっくり味わってもよし、さくさくっと読み進めてもオッケーな懐の広さがあります。読者をだまし討ちにするような、妙な作りにはなっていません。感じとしては『無責任艦長タイラー』みたいなの、と言えば伝わるかな。シリーズとして刊行するのが前提だから、という強みも活かして、第一巻はほぼ全体が序章と言ってしまってもよいでしょう。読み終えたとき、すっと胸に落ちていく作品もいいですけど、続きが猛烈に気になるタイプもいいですね。


百聞は一見にしかず、といいますが。まさに力関係はこの絵の通り

舞台である学園の設定はこんな感じ

自慢の縦ロールも、主人公にいわせれば“ドリル”

物語の肝である“なぜ不良少年が執事を目指すのか?”については、実はなかなか語られない