恋せよ男子！ イケメンショコラティエが、泣いて作って恋をして

好きで好きで仕方がないサエコに実は二股をかけられていた主人公の爽太。ショックを受けながらも「二股でもいい！何がだめなの？」と食い入る爽太のサエコへの愛は、深すぎて底が見えない。どんなにサエコが悪女でも、爽太にとってサエコは妖精でしかないのです。そして、サエコが大好きなものがチョコレートだったということが、爽太をショコラティエへの道へ進ませます。有名なショコラティエになってサエコを見返すこと、そして自分のチョコレートを美味しいと言わせること、それが爽太の夢なのです。BLコミック作家として恋する男の心理を巧みに描く水城せとなが、今回は恋に狂った男＋男女の恋愛の駆け引きを描いています。甘くほろ苦いビターチョコレートのような片想いコミックです。

パリでのショコラティエ修行を終えて帰国した爽太を待っていたのは、テレビ局が勝手につけた「チョコレート王子」と言うあだ名と、5年ぶりに再会したサエコの羨望の眼差し。爽太と会うときに顔を真っ赤にして話すサエコに、「俺やったんじゃね？」と恋の勝利宣言をする爽太。しかし、そこは小悪魔サエコ、さすがです。彼女は爽太に「もうすぐ結婚するから、結婚式のウェディングケーキを爽太くんにつくってほしい」という衝撃の告白をしたのでした。もう小悪魔っていうより、私にはサエコが大魔王に見えます。

爽太！ もっとかわいい女の子なんてたくさんいるよ！ なんでそんな特別美人でもない小悪魔女に入れ込むの！？ しかも彼女の為にショコラティエにまでなってバカじゃない！？ 店まで開店させちゃうし！ バカバカ！ 女性読者からの爽太へのツッコミは多分きっと計り知れないでしょう。でもそれが恋愛の恐ろしい所。周りがどんなに説得したって、当人は一切聞く耳を持ちません。まさに、恋は盲目です。

サエコが人妻になると知った爽太ですが、なんとそれでも諦めません。人妻だろうと不倫だろうと構わない、とサエコをますます強く想いはじめます。そして小悪魔サエコに対抗して、優しくしたり、時には突き放してみたりと爽太も心理戦でサエコを攻略しにかかります。2人の恋の行方はどうなってしまうのか。サエコは爽太に攻略されちゃうの？ いやー、でももっといい女の子いっぱいいるけどね！ 目を覚ませ爽太！ まさかの不倫劇という恐ろしい展開になりそうな2人の恋の行方から片時も目が離せません。そして薫子さんやオリヴィエの脇キャラの恋模様にも注目です。個人的に薫子さん、応援してます！！ にしても、出てくるチョコレートがどれもこれも美味しそうで、深夜に読むのは目の毒です。