10/2まで450円→85円! 池澤夏樹『楽しい終末』が電子書籍アプリで配信開始!

更新日:2013/8/14

 芥川賞作家・池澤夏樹さんの電子書籍『楽しい終末』が本日配信。10月2日まで通常価格450円⇒85円のセール実施中です。

 『楽しい終末』は1990年より3年間、『文学界』で連載され、1993年に文藝春秋より単行本で発行された作品。終わることのない地球上での原子力、民族や種の消滅、エイズ、核問題、大気汚染、砂漠化などを著者の幅広い視野で考察したエッセイです。

 1990年の連載当時、著者の池澤さんは
「人は自分が作り出したものの真の力を知らないまま、現実への応用を具体化してしまった。 東海村なり福島なりで炉心溶解規模の事故が起こったら、日本の社会はあまりにも重大な損傷を被る」と発言しています。

そして、当時の作品をいま、電子書籍として配信するにあたって、下記のような言葉を寄せています。

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「今回、この大きな地震と津波がきて、しかもその後で福島の原発がああいう事態になった。それでぼくは慌てて振り返ってみて、原発のことは『楽しい終末』で書いたな、と思って、もういっぺん引っ張り出して読んでみたんですね。

あの時僕は東海村の原子力発電所を見学に行っています。その時に見て書いたことを今読んでみると、結局、あまりにも当たっていた。これは当たって嬉しいことではないんですよ。こんな悲惨なことに、こんなにひどいことになってから「だから言ったじゃないか」と僕が威張って言っても始まらない。それはつまり、大変悲しいことです。

しかしあそこで考えてたことがこんなに当たってしまうと、では、あの本に書いた他のことはどうなんだろうといろいろ気になってくる。問題はたくさんあるんです。
だからこそ、改めてこの本を世の中に提出して皆さんに読んでもらおうと考えた次第です」

 このたび電子書籍として復刊した本書では、陸前高田市出身の写真家・畠山直哉さんがが“ある営みの終わり”の風景を映し出した写真を収録。さらには撮り下ろしの著者本人のインタビュー映像も収録されています。

約20年前に今年起こった福島の原発事故を予感していた、本書はまさにいま読まれるべき1冊です。

■楽しい終末/池澤夏樹/G2010(iPad・iPhone・iPod touch)