オードリー若林「第2弾はドアウェイな感じでやってみたい!」文筆系トークバラエティ『ご本、出しときますね?』書籍化記念トークイベント

エンタメ

2017/5/23

(左から、オードリー若林正恭、加藤千恵、中村航、佐久間宣行)

5月3日、HMV&BOOKS TOKYOにて、「ご本、出しときますね?」書籍化記念トークイベントが行われた。

 『ご本、出しときますね?』とは、2016年4月から6月までBSジャパンで放送されたトークバラエティ番組である。MCのオードリー若林が毎回2人の小説家を迎え、それぞれのマイルールや疑問に思っていることをテーマに爆笑トークを繰り広げる。

 この度刊行された書籍版には、総勢18名の小説家と若林による鼎談に加え、特別企画としてオードリー若林正恭×クリープパイプ尾崎世界観×オアシズ光浦靖子による鼎談も収録されている。

 今回はその書籍化記念イベントとして、MCのオードリー若林、番組にも登場した小説家の加藤千恵と中村航、番組プロデューサー佐久間宣行の4人がトークイベントを行った。


――「ゴットタン」などで知られるテレビ東京のプロデューサー、佐久間宣行。この「ご本、出しときますね?」はオードリー若林から企画を持ちかけられたのがきっかけだという。


佐久間宣行(以下、佐久間):「もともと、小説家の加藤千恵さん、中村航さん、西加奈子さん、朝井リョウくんの4人と飲むことになっていて、そこに若林くんを呼んだんですよ。その飲み会で若林くんから、小説家と繰り広げるトークバラエティ番組を作れないかという話が出て。企画自体が若林くんから出たものだし、その後のキャスティングなどもけっこう彼に相談しに行きましたね」

若林正恭(以下、若林):「ほんとうに実現するとは思っていなかったのでびっくりしました。キャスティングは、第1弾ということで僕と同世代の方々を中心にお招きした感じです。というより、しょっちゅう飲みに行ってるメンバーですね。今回の登壇メンバーなんて4人とも飲み仲間なので、仕事って感じもしないし不思議な気分です」

加藤千恵(以下、加藤):「ひとつ驚いたのは、小説家が全員きちんと揃って出演できたということ。毎年西加奈子ちゃんのお家でお花見をするんですけど、一昨年は綿矢りさちゃんが、去年は中村文則さんが日にちを間違えて来られなかったってことがあって。そのときに“あ、やっぱり小説家って集まれないんだ”って思ったことがあったんですよ(笑)」

佐久間:「撮影自体もまったくトラブルはなかったですね。むしろ個人的には、村田沙耶香さんには時間には縛られないようなイメージがあったので、全くそんなこともなくて意外でした」

加藤:「村田沙耶香ちゃんは意外と早く着くタイプなんですよね。二人で食事に行ったときも、1時間前には到着して近くのお店で時間を潰してたりするんですよ」


佐久間:「あとは、山崎ナオコーラさんの登場シーンが面白かったですね。神田で収録をしたんですけど、ナオコーラさんが逆方向の電車に乗ってしまったせいで遅刻しちゃったんですね。とてもいい方で、彼女はそのとき番組用のワンピースを着ていたんですけど、その姿のまま駅から書店まで信じられないくらいの爆走で来たんですよ。神保町の町を、ワンピースで爆走」

若林:「あれは面白かったですね。確かにちょっと時間が遅れていたので、そこで走るのはわかるんですよ。ただ、帰りもまた走って帰っていっちゃって(笑)」

一同: (笑)

若林:「じゃあいっつも走ってるひとじゃん! って」

――次に、それぞれの「番組内で気になったテーマ」についてトークが続いた。


中村航(以下、中村):「僕が気になったのは、平野啓一郎さんの『恋愛に傾向はありますか?』という質問に対する、若林さんの『女の子に面倒を見られたい願望がある』という回答ですね。それなのに、付き合って5ヶ月くらい経つと面倒見てくれてる女の子に対して『なめんなよ』って気持ちが芽生えてしまうっていう話」

加藤:「その話、面白かったですね。私も以前若林さんから『家に帰って自分のためにマンゴーがさいの目状に切ってあったりすると腹が立つ』って聞いて、意味がわからなかったんです。それはどういう感情なの? っていう」

中村:「ただ、若林さんはこの話をする際に『僕は人間としておかしいんだけど』って前置きをしているけど、僕は自然なことなんじゃないかと思っていて。これってつまり、反抗期なんですよ。子育てを思い浮かべてみると同じなんですけど、何をされても嫌がるイヤイヤ期ってありますよね。若林さんは反抗期なんですよ」

若林:「俺、未だに反抗期なんですか!?」


加藤:「私が一番気になったのは、角田光代さんの『もうダメだと思ったとき、自分を救ってくれるのは小説・音楽・映画・テレビ・お笑い、どれですか?』という質問。私はお笑いと音楽、あとはテレビなんです。小説や映画はエネルギー使うので、本当に疲れているときは難しいんですよ。実は佐久間さんと知り合ったのも、すごく弱っているときにTwitterで『ゴットタンがあるからあと1週間生きていける』っていうことをつぶやいたら、佐久間さんがフォローしてくださったことがきっかけなんです」

佐久間:「もともと加藤さんのファンだったので、Twitterで見つけて『おお、加藤さんが自分の番組のことつぶやいてくれてる!』って嬉しくてフォローしたんですよ。ただ、そのフォローした2日後にまさかダイレクトメールを送ってくるとは思わなくて。やっぱり加藤さんって少しクレイジーだなと思いましたね」

――また、「もし第2弾をやるとしたら誰に出てほしいか」についても語った。

佐久間:「今回、お声をかけたかったけどスケジュールが合わなかったのは、柚木麻子さん。そこに窪美澄さんも呼んで、朝井リョウくんとの同期会をやってあげたいと思ってるんですよね。今回の書籍にも収録されているんですけど、この3人は同期ながら嫉妬しあっていて、その話をぜひ聞いてみたい」

加藤:「私は、津村記久子さんかな。大阪在住の方なんですけど、作品がとにかく面白くて。エッセイも面白いのでお話してみたいですね。今回の収録でも、長嶋有さんが嫉妬する作家として名前をあげていらっしゃいましたね。『津村記久子が出てきたときに俺の時代は終わった』っていう(笑)」


若林:「第一弾は、よく飲む仲間や同世代の小説家と話すことが多かったので、第2弾はドアウェイな感じでやってみたい気もしますね。それこそ林真理子さんとか」

佐久間:「林真理子さん、北方謙三さん、若林くん、とかね」

――最後に、どんな人にこの本をおすすめしたいか、それぞれが述べた。

中村:「『はじめに』で若林さんが書いているのですが、普段本を読む習慣がない人たちにも届くといいなあと思いますね。難しい文学論とかも出てこないし、入り口としてもとても面白い話をしていると思うので」

加藤:「小説家になりたい人にもおすすめかな。よくイベントとかで参加者から『小説家になるためにはどうすればいいですか?』みたいなことを聞かれて困ることがあって。でも、この本を読めば、小説家の傾向というがわかるような気がします」

若林:「面白そうな本を探している人ですね。よくおすすめの本を聞かれたりするんですけど、その人の性格や好みを知らないとなかなかすすめられない。僕は小説家のインタビュー記事を読んで、その人の本を買うことが多いんですよ。だからこの本を読んで、『この小説家が言ってること、自分も思ってた!』みたいな人がいれば、その小説家の本を読んでみるといいんじゃないかなあと思います」


 しょっちゅう飲みに行っているメンバーだということもあり、終始なごやかな雰囲気の中トークは終了した。

 ちょっと変で、でも意外と普通。小説家のことを知れば知るほど、彼らの本を読みたくなってくるかもしれない。『ご本、出しときますね?』は、普段読書をする習慣がなくても面白く読めるし、読書好きにとってはより読書欲をかきたてられる、そんな不思議な一冊だ。

取材・文=園田菜々