「私はシンデレラ。いつか王子様が…」その発想が、女性の購買心理に与える影響とは?

社会

2017/12/1

『ネットで「女性」に売る 数字を上げる文章とデザインの基本原則』(谷本理恵子/エムディエヌコーポレーション)

 毎日の暮らしに欠かせないインターネット。特に買い物は、本、服、化粧品、食品等々ありとあらゆるジャンルが用意され、超巨大なショッピングモールが画面の向こうに存在している。ネットを通した購買力は凄まじく、配送従事者の働き方が社会問題化し、宅配業界のシステムも改変させる事態に発展。とはいえ、駅やコンビニなど、商品受け取りの場所が増えたことで助かっている人も多いだろう。

 ところで、あなたの前回のネット注文について質問。「欲しい!」と思い、実際、確定ボタンを押すまでに至る理由は何でしたか。よーく商品を吟味したから? もしや一目惚れで、ついポチッと? それとも、商品ページの文章や写真に“何かピンときた”から?

『ネットで「女性」に売る 数字を上げる文章とデザインの基本原則』(谷本理恵子/エムディエヌコーポレーション)の著者・谷本理恵子氏は、長年、通信販売業界に関わり「売るための文章」を制作するセールスコピーライター。最前線で活躍し、多くのメーカー通販での売り上げ実績を重ねた経験をもとに、Webマーケティングの観点から女性自身を鋭く分析。ネット販売に活用・実践しやすい39の法則を紹介している。女性をターゲットにした“少人数かつ低コストでできる”売り上げ向上に欠かせない文章の「書き方」、写真やデザインの「見せ方」の秘訣が詰まった一冊である。

 まず、男女の購買動機について、男性はスペックや機能という“実用性を重視”するのに対して、女性は共感や直感という“感情への働きかけ”が大きく、最終的には様々な考慮はするが、購買への第一関門を越える心理の違いは広く知られているところ。そこから一歩進み、本書からシンデレラにまつわる、ある法則を紹介しよう。

法則03 男性と女性では「現実」の認識が異なる
【考えるヒント】
・女性の購買心理の本質は「シンデレラ」の物語にある
・男性と女性では「現実」の捉え方が違う
・女性は「本来の自分はお城にいるべき」と感じている

 ご存じの通り、シンデレラは「魔法」によって王子と結ばれる“玉の輿ストーリー”である。なんと、多くの女性の心理には、この「シンデレラ」願望があるそうだ。簡単にいうと、シンデレラ物語を自分に置き換えた発想だ。物語冒頭のシンデレラの“メイドのような暮らし”に対しては、現実の自分に近いが、それは本当の自分ではなく「何かが間違っているという違和感」として捉える。そして、結末に待っている“お城での恵まれた暮らし”こそが、自分が描く理想であり、かつ「本来の自分がいる場所」と考えているそう。

女性にとっては、お城での生活は「目指すべきゴール」ではなく、「本来あるべき姿」です。だからこそ、女性には「本当の自分を取り戻すための魔法」として商品やサービスを提示するのが、「鉄板の方法」になります。

 この視点は、単なる男女の意識の違いだけではなく、女性の購買心理の核心のひとつを突いている。

 他にも「色の微妙な違いを意識する」「数字は直感を裏付ける『スパイス』」「リピートの仕組みをまず先に作る」など気になるテクニックも並ぶ。“人の気配を感じさせる接客とは?”という心理的なアプローチからの解説も網羅し、販売からアフターフォローまで、ネット販売に大いに参考となる様々な法則が公開されている。各法則の締めくくりには「売上UPへの道」としてまとめがついており、知識を整理しながら、読み進められる。

 また、Webマーケティングに基づく本書であるが、商品・サービスを“女性に売る”ための法則は、ネット、実店舗、職種を限定することなく、女性がターゲットのビジネスに身をおく人全般に応用できる内容となっている。

 日本でネット販売が一般に普及してから約20年。ITの技術革新はまだまだ進むだろうが、人間だからこそできるネットで売れる仕掛けは、今後どう変化していくのだろうか。これからも注視していきたい。

文=小林みさえ