「半日旅」は大人のたしなみ。時間もお金も節約できる旅のガイドブック

ライフスタイル

2017/12/29

『東京発 半日旅』(吉田友和/ワニブックス)

 友人と約束していた予定が突然キャンセルになった、思いがけず会社が休みになった、そんな経験は誰しもあることかと思う。予定が変わったことで丸1日空いてしまったとしたら…。そんなときにおすすめなのが「半日旅」だ。旅行好きな人は毎週末でもどこかしら旅する人は多いという。有給休暇や年末年始の大型連休など、旅行する機会はそれなりにはある。しかし、ポンと空いてしまったスケジュールに「どこかいきたいな」と感じたとき、翌日にまで疲れを残さないような旅をしたいと考えて書かれたのが『東京発 半日旅』(吉田友和/ワニブックス)だ。

忙しい日常の中で、突然フッと空き時間ができることがある。
どこかへ行きたいけれど、泊まりがけで出かけるほど余裕はない。かといって、家でマッタリするのもなんだかもったいない。そんなとき、僕は近場でおもしろそうな場所を探して旅に出る。

 うむ、まさにその通りだ。著者・吉田友和氏の考えには共感できる。自分自身もただなんとなく1日を過ごしてしまい、もったいないと感じた経験がある。ということで本書の内容について触れていくことにしよう。

なお、東京半日旅ではなく東京発半日旅としているところは強調しておきたい。東京以外の千葉や神奈川、埼玉といった関東圏のスポットを幅広く取り上げていく。限られた時間で、可能な限り遠出したくなるのは我が性分と言っていい。

 そうなのだ。東京から半日または1日かからずにいける場所ということで、そのいき先は関東圏に限定される。しかし、違う見方をすれば「東京から半日程度でいける面白いところがこんなにあるのか」というのが率直な感想だ。本書に収められている旅先は全部で60カ所にも及ぶ。ひとり旅としても楽しめる内容であるため記事のタイトルに「大人のたしなみ」と添えたが、家族づれでも十分楽しめる旅先が多いのもおすすめの点だ。

 第1章の中に紹介されている「養老渓谷(千葉県)」や「小田原フラワーガーデン(神奈川県)」は子どもづれでも楽しめる場所だ。第4章には近年参拝者が増えつつある人気のパワースポット「三峯神社(埼玉県)」をはじめ、初詣に行けそうな場所も紹介されている。第5章にある「カップヌードルミュージアム(神奈川県)」や「JAXA筑波宇宙センター(茨城県)」のような体験型のものも興味深い。本書の中で遠距離と思われるのは「袋田の滝(茨城県)」や「韮山反射炉(静岡県)」あたりだが、グルメとうまく組み合わせれば半日旅の中でいくつか楽しむことは可能だ。時間がじっくり取れるときに改めて宿泊するのもいいだろう。そして第7章として、半日旅の心得が書かれている。半日旅の楽しみ方や交通手段、必須アイテムなど非常に親切なところには吉田氏の旅への愛情を感じる。

 本書はそのサイズの手頃さもまた、いい。そしてそのすべての旅先に住所や営業時間、定休日に連絡先、料金、そしてアクセス方法や駐車場の有無などが記されている。そして吉田氏自身の感想や写真が添えられているのもいい。吉田氏の旅行日記であり、いつでも気軽に情報を引っ張り出せる大人のガイドブックといった印象だ。いかにもなガイドブックを持ち歩くのが苦手な人も持ちやすいという点も本書の魅力ではないだろうか。突然できた空き時間や休日をひとりで半日旅に出かけるのも良し、そして大切な人との休日の過ごし方としても良し。ぜひ活用してほしい1冊である。

文=いしい