「学校の勉強は役に立たない」って誰が言った? 勉強法以前に身につけたい勉強体質とは

生活

2019/5/15

『勉強法以前の「勉強体質」のつくりかた』(伊藤敏雄/主婦の友社)

「学校の勉強は社会人になると役に立たない」とはよく言われていることです。偏差値の高い学校を出た人が必ずしも仕事ができるとは限らないのは事実。しかし、本当に勉強は必要ないといえるのでしょうか。そのように信じている人には『勉強法以前の「勉強体質」のつくりかた』(伊藤敏雄/主婦の友社)の一読をおすすめします。この本を読めば、勉強の本質とは何かを理解できるでしょう。

 子育てや勉強法に興味のある人なら「できる」ようになるためには自信や自己肯定感が必要であることは知っていると思います。自信や自己肯定感を身につけさせるには、はげましたりほめたりすることが大切だといわれているので「機会をとらえてほめる」を実践している家庭もあるかもしれません。しかし、ただそうするだけでは本当の自信は生まれないというのが著者の持論です。

 世の中には数多くの勉強法に関する本がありますが、その多くは子どもにただ作業として「やらせる」だけのものになってしまっています。著者が運営する塾では、書き取りもドリルもやらせません。それでどうやって成績を上げるのか不思議に思うでしょう。その秘訣は、勉強の「やり方」を教えることだといいます。子どもはやり方さえ分かれば進んで勉強するようになり「分かる」や「できる」を体感できるようになります。

 子どもを勉強体質にするためには3つのステップが重要です。「できることから始め」「楽しみながらつづける」そして「ふり返ることで伸びる」こと。どうでしょう。この3つのステップは、大人になってからも必要なPDCAサイクルに通じるものであることに気がつくのではないでしょうか。本書の中で、著者は勉強のできる子とそうでない子の決定的な違いを次のように説明しています。

できなかったときやわからなかったときに、どうしたら間違えないでできるかを考えるか、そうでないか

 これは大人にも同じことがいえます。仕事ができる人は、たいていのケースで自己肯定感が高く、どうしたらできるかを考え抜く傾向があることが知られています。できることからはじめて、少しずつステップアップしながら自信を深め、さらなるチャレンジに挑みます。うまくいかない状況になったときは、何が悪かったのかその原因を追及して再び取り組む力を持っているのです。

「社会に出たら学校の勉強は役に立たない」と考えている人は、勉強は「知識」であると思っているのかもしれません。しかし、勉強とはPDCAサイクルを自分で回す練習であると考えれば、その認識が変わるのではないでしょうか。勉強ができる人の多くは学校を卒業するまでの長い期間、自分の学力を客観的に見てどうやったら勉強ができるかを考え、トライアンドエラーを繰り返す練習をしてきました。その結果、知識を吸収するだけでなく、自分でPDCAを回せるようになった人は社会に出ても仕事ができる可能性が高くなります。

 本書を読むと、私たち大人がこれからの未来を作る子どもにできることはなんだろうと考え始める人もいると思います。はじめから自分で勉強できる子どもはほとんどいません。そのため、子どもができるだけ小さなうちに、身近な大人が子どもに寄り添い、彼らが勉強体質になるためのステップを伴走してあげることがポイントとなるでしょう。

 この本は間違い直しを中心としたノートの作り方などもイラスト入りで詳しく解説されているので、子どもの成績を上げたい保護者にも役立つ内容が満載です。塾講師をしている著者だからこそ書ける内容は、学校の先生や塾講師にとっても実践的であるともいえるでしょう。もちろん、勉強法を知りたい子ども自身へもおすすめの内容です。

文=いづつえり