「惡の華」を語るに外せない、特徴的な音楽を紡ぐアーティストの秘話を公開

アニメ

更新日:2013/7/29


『惡の華』を語るに外せない、特徴的な音楽を紡ぐアーティストの秘話を公開

 アニメ界のみならず、エンタメシーン全体を震撼させている『惡の華』。4月末に開催されたイベントの第2弾として、今回はEDテーマ『花-a last flower-』を担当するASA-CHANG&巡礼のASA-CHANG、OPテーマ『惡の華』を担当する宇宙人からしのさきあさこ、劇伴担当の深澤秀行らを迎え、作品の音楽にまつわるトークを展開した。


ASA-CHANGいわく、原曲の『花』は13年前に設計図(楽譜)が製作されていたそう。「一話のラストで流れた時は怖かったですよ(笑)。仲村役の伊瀬(茉莉也)さんも佐伯役の日笠(陽子)さんも、3人とも“うわぁー!”ってなりました」とアフレコ現場の様子を明かす春日役の植田慎一郎に対し、ASA-CHANGは「実は俺も怖かった。心が震えるというか、一元的に怖いという意味ではなくて、自分の曲が流れるタイミングだけでこんなに変わってしまう」と、印象を語る。


長濱博史監督は「最初に押見修造先生から原曲を聞かせていただいたとき、ウルトラQのOP冒頭の映像が音楽になったような感じがしました。それがうまく被っていったんです。あんまり計算はしていなくて、音を当てたらそうなった」と。原作の原稿執筆中、偶然にもオリジナルの「花」を聴いていたという押見修造先生からも続々と質問が投げられていた。


OPテーマ『惡の華』には4パターンのメロディが織り込まれ、現在順次OAされている。「それぞれのバージョンが全部一緒のメロディだと違うだろうということで、3パターン作りました。(4つ目の)桐生は物語の舞台なのでラスボスです」としのさきはさらりと明かすが、その実この作品のためだけに1週間で50曲を製作し、その中から4曲を選りすぐったのだとか。50曲の内容が気になる監督は「それどうにかして聞けないですかね?」と尋ねると、しのさきの「USBメモリを失くしました」とまたまたさらりの衝撃発言に会場も爆笑が巻き起こっていた。

 伊瀬が泣いて喜んでいたなどキャスト陣エピソードが語られるほど、まるでキャラクターが歌っているように感じられるゲストボーカルの歌声。押見先生も「(しのさきが)漫画を読んでいるのがビシビシ伝わってきました。仲村の部分の歌詞がぴったり」と賛辞の言葉を贈った。


ラストは劇伴担当の深澤が登壇し、モジュラーシンセサイザーを使用した劇中音楽の生演奏を披露。「もともと読んでいたので、原作の『アニメ化決定』という帯を見て、万が一音楽が決まっていなかったらと思ってコンタクトを取ってもらったんです」という逸話を持つ深澤。

「これは鍵盤もないし、摩訶不思議な音しか出ない。これがまさかアニメの劇伴で使いどころがあるのが驚き」という無機質な楽器で、監督の「ポーン(の一音)だけで仲村、春日みたいな」という無茶なリクエストを受け形づくっていったことを明かす。さらに「作るときにピアノやいろんな音を当ててみるんですけど、はっきりしたメロディが全然合わないのがびっくりしたんですよ。絵に動いちゃダメって言われてるよう。それが分かってからは作業が楽しい」と作品独特の世界観に対する苦労話も。

長濱監督は「スタジオ内の一番いい場所で音を聞いている音響調整の名倉さんは、音が集約して広がるから気持ちいいって言ってるシーンがありました。今後出てきますよ」と音楽的見どころがあることも告知した。

休憩中には観客として訪れていた吉田尚記が飛び入りトークするなど、うれしいハプニングもあった今回のイベント。植田は今後の見どころとして「10話は僕たちが死にもの狂いで演じたシーンなので、観てほしい」とPRしていた。

6/9(日)にはニコ生で第1話~第9話までの一挙放送が決定。観逃している皆さん、これはチェックしないと絶対に後悔しますよ?

(取材・文=林田真季)

放送情報

TOKYO MXテレビほか全国で放送中
惡の華 公式HP
http://akunohana-anime.jp/

(ダ・ヴィンチ電子ナビ アニメ部)