JAXA×『ロボノ』 君島レポートを体感できるロボノツアーとは?【前編】

アニメ

更新日:2014/4/11

 ロボットに夢を馳せる人気アニメ『ROBOTICS;NOTES(通称ロボノ)』。ゲームや舞台でも話題となった作品が、この秋、ビッグなコラボを実現した!  JAXA×『ロボノ』×種子島、三者が腕を組んで最強のツアーを組んだのだ。前代未聞の聖地巡礼ツアーに、参加者たちは大興奮! 種子島ツアーの模様を、前編・後編に分けてレポートする。


ゲーム・アニメで人気の『ROBOTICS;NOTES』

■おじゃり申せ、種子島!

 ご存じの通り『ロボノ』は、種子島が舞台。しかし今回の旅はただの聖地巡礼ではない! 『ロボノ』の世界観を堪能しながら、「宇宙」と「島の名勝地」も満喫できるシステムだ。

 謎の多いまま、鹿児島港から約1時間半。やってきました、種子島! さっそくフェリーターミナルに降り立つと、「おじゃり申せ(いらっしゃいませ)」の文字が。


 その先にある看板の前には、あ、あれ? あき穂がいるぞ。


制服姿のあき穂になりきっているのは、鹿児島で噂の美人レイヤーのQちゃん。

 やる気が“たぎって”いるのは分かるが、いきなりのガッツポーズは、気合いが入りすぎでは?
「違うんです! これは旅のキーワードのひとつでもある、『宇宙』と交信した証しなんですよ」とQちゃん。

 宇宙と交信って、もしかして電波ちゃん……?

■ARで君島レポートを探せ!

 突如ポーズを取り出す、あき穂レイヤーのQちゃんに一同が戸惑っていると、またもやツッコミが入った。
「電波系じゃないですよ! 私はいま、ARのあき穂とコラボしているんですよ」

 ARとは、「Augmented Reality(拡張現実)」の略で、カメラやレンズを通じた文字や画像、映像に対して、情報「メタデータ」を付与(アノテーション)し、現実にないものを見せる技術。
 作中では、妹系キャラ・愛理が「お兄ちゃん!」っと、モニター越しに話しかけてくれたアレだ。


ツアーでは、旅行情報アプリ「ふらっと案内™」を使用

 そう、今回のツアーでは、「君島レポート」よろしく、種子島のいたるところに、ARが仕込まれている。ツアー参加者は隠されたARを探しながら、島内を巡ることが醍醐味だ。

 たとえば、先ほどの看板。「ふらっと案内™」というアプリをダウンロードし、AR読み取り機能を立ち上げると……。


アプリのカメラでこの看板を捕らえると、もう一人のあき穂が!

 あら不思議! あき穂の3D映像が浮かび上がってくるではないか。実はこのあき穂は、「おじゃり申せ!」と、勢いよく拳を突き上げる動作までしている。まったくもって驚きの技術である!

 しかし、このARが宇宙とどう関係してくるのか?それは今回コラボしている「JAXA」が重要な鍵を握っているのである。

■最新型人工衛星と交信せよ!

 風景のなかに仕込まれたARを見つけ出すには、正確な位置情報の把握が必要となる。位置情報といえば、カーナビでおなじみのGPS(Global Positioning System)、人工衛星を利用した全地球測位網だ。今回のツアーでは、この最新型GPSシステムを使った大掛かりな仕掛けが用意されている。
 その仕掛けを支えるのが、準天頂衛星システム初号機「みちびき」である。

 熱心な『ロボノ』ファンの方はご存じだろうが、実は、この「みちびき」の打ち上げシーンが、劇中に登場している。「あねもね号集団失神事件」の日に打ち上げられたとして登場するロケットのモデルこそ、「みちびき」なのだ。
 そしてこの「みちびき」のシステムこそ、未来のみなさんの生活を大いに変える可能性のある技術である。ツアー中に催された、JAXAの特別講演で、その内実が詳しく語られた。

 日本版GPSである準天頂衛星について説明してくれたのは、JAXA広報部長、「みちびき」プロジェクトマネージャーの寺田弘慈さん。さて、我々の未来が変わるとは?

「スマホの地図アプリを見ると、道の反対側にいると誤認されたり、ビルの多い場所ではうまく表示されなかったりしませんか? そのような誤差をもっと少なくできるのが、準天頂衛星システム『みちびき』なのです。今までより精度の高い位置情報を認識できるため、たとえば、ブルドーザーや耕運機の自動運転ができるようになります。またGPS信号の受信状況を解析することで、局所的なゲリラ豪雨予測も可能になります」(寺田さん、以下同)


非常にわかりやすく、「みちびき」について説明するJAXAの寺田弘慈さん。

 2010年に打ち上げられた準天頂衛星初号機「みちびき」は、特殊な軌道を描くことや、新技術の搭載により、これまでのGPSの弱点を補強しているという。
「準天頂とは、『ほぼ真上』という意味です。地球の上空を8の字型に移動する特殊な軌道により、日本の上空に長くとどまることができます。その結果、測位できる時間や場所が格段に広がりました。いままでは、数十メートル単位でしか捕られなかった範囲が、1メートル単位で捕らえるようになったのです。今後、森林や高層ビル街などでも、使えるようになるでしょう。ビジネスに遊びに一層GPSを使う機会がさらに増えます」

 そう、今回のツアーでは、まだ試運転段階である、「みちびき」からの正確な位置情報を受信しながら、キャラクターが登場するARスポット(聖地)を探索するツアーだったのである。しかし、既に打ち上げから3年もたった「みちびき」だが、なぜにまだ試運転?


みちびきは、高度約4万kmの軌道を旋回している

■未来の技術を応援すべし!

 準天頂衛星システムの状況について、寺田さんは語ってくれた。
「より正確に情報を取得するためには、人工衛星が4機必要です。いまは1機しか打ち上げられていません。2・3号機の打ち上げへの足が掛かりとして、1号機の性能を確認している段階です。もしも後続機が打ち上げられないとすると、日本は宇宙開発に置いて世界に大きく遅れをとることになるでしょう」

 もしも日本が独自のGPSシステムを構築できなければ、アメリカ、欧州、インド、中国……。宇宙先進国と呼ばれる国々からシステムをお借りしなければならない。


最先端の技術に触れることができるのは「種子島宇宙センター宇宙科学技術館」

「探査機『はやぶさ』はチャレンジングな偉業を成し遂げましたが、『みちびき』はみなさんの生活を向上させるプロジェクトです。地道な活動をしていますが応援をよろしくお願いします!」

 惑星へ旅立つような華やかさはないが、「みちびき」は我々の生活をもっと楽しく便利にしてくれるのだ。ほかのプロジェクトに比べて地味……、いや地道な活動を繰り広げているが、これを読んで宇宙開発競争に遅れたくないと思ったみなさんは、このプロジェクトを応援しよう!!


あき穂の父親はJAXA職員という設定。宇宙科学技術館では、屋内にもARが仕込まれていた

■宇宙に一番近い島、種子島
『ロボノ』にも登場したように、種子島には、日本で最大のロケット打ち上げ施設がある。このような宇宙開発の最新事情を知ることができるのも、種子島の魅力だ! 

 宇宙科学技術館、ロケットの丘展望台、宇宙ヶ丘公園など、宇宙を身近に感じられることができる施設がたくさんである。もちろんこれらの施設には、ARがしこまれていた。


一般の人もロケット発射を観覧できる、宇宙ヶ丘公園。愛理たんが、手を広げてお待ちしていた

 宇宙にもっとも近い島、それが種子島なのだ。それを裏付けるかのように、この種子島を舞台にまたも新しいアニメが始動している!

 そのタイトルは『キャプテン・アース』 。ボンズ製作の巨大ロボット&バトル作品とのこと。『STAR DRIVER 輝きのタクト』の五十嵐卓哉監督と、シリーズ構成を手がけた榎戸洋司氏がてがけ、地上派で放送予定。

 宇宙アニメの聖地として、ますます種子島は注目を集めそうだ!


宇宙ヶ丘公園から海翔が登ったレーダーのタワーはすぐ目の前

 さて、次回は「みちびき」の技術を利用した、ARを探す旅をご紹介。お宝キャラ画像も初公開予定!

 では、のっちよー!!(種子島方言で「またね」)

<後編に続く>

■今回のツアーを企画したのは
「旅の発見」
体験を重視したツアーを予約できるまったく新しい旅行サイト。日帰り温泉から、水上で空を飛ぶフライボード体験まで幅広いプランを提案。まだ間に合うクリスマスプランも用意。

■旅のおともには
アプリ「ふらっと案内™」
位置情報システムを利用して、近くの名所・見所などお楽しみ情報を提供する。Wi-Fiスポットやコンビニなども教えてくれる。
・iPhone版
・Android版

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『ROBOTICS;NOTES』公式HP
PS Vista版『ROBOTICS;NOTES』発売予定!

(取材協力=ティー・ゲート、ソフトバンクテレコム株式会社 ヘア・メイク=ヒラノマリナ 取材・文=武藤徉子 撮影=橋本商店)

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