仙台出身の現役アイドル「AKB48岩田華怜」が語る東北への想いとは?

アニメ

公開日:2014/2/4

 前回、仙台女子のリアルな姿について語ってくれた、AKB48の岩田華怜ちゃん。引き続き、地元仙台のこと、大好きなアニメのこと、そしてアイドルと復興について話を聞かせてくれた。

 アニメ『Wake Up, Girls!(WUG)』は、監督の山本寛氏をはじめスタッフが、東北の復興を願い制作した作品。華怜ちゃんも当時仙台で被災した。
 2011年、AKB48の12期研究生としてデビューし、現在はチームAに所属。「明日へ1min『カレンの復興カレンダー』」という冠番組を持ち、復興への思いはひと一倍強いという。


仙台出身、アニメ大好き現役アイドルの岩田華怜ちゃん

 「AKB48のオーディションは、震災前から受けていたんです。でも、研究生の最終セレクションの2日前に被災して……。すぐには上京できないことを事務所に伝えるために、公衆電話に3時間並んで伝えました。こっちがビックリするぐらい、東京の事務所の方が心配してくださって。そのため、結果として審査も延期していただけることになったんです。
 そのとき、『これは行けってことかな?』と運命に近いものを感じました。それまでは、もしもオーディションに受かったら引っ越しも転校もしなければいけないので、実はちょっと二の足を踏んでいたところもありました。それに加えてこの震災。諦めかけていたところに、強い気持ちを持てました」


■自分だけ地元を離れるか悩んだ日々

 運命というものは誰にもわからない。そのタイミングでデビューしたことについて、心ない言葉を浴びせられたこともあった、という。人前に出るという仕事は、それだけ批判を受ける機会も多い。しかし、華怜ちゃんは弱音を吐かない。


今年のじゃんけん大会でも東北にまつわる衣装を検討中

 「自分の活動がどれくらい“ふるさと”の役に立っているか、正直わかりません。でも、AKB48では、復興ソングをリリースしています。それから、毎月、被災地を訪問させていただいたり、NHKで番組を持たせていただいたり。自分なりに常に東北のことを考えて活動しています。
 『何か企画ない?」と聞かれると『じゃあ、東北について……』といつも東北のネタ出しをしています。あと、『AKB48シングル選抜じゃんけん大会』では、一昨年は伊達政宗の格好。昨年は、あまちゃんで東北をアピールしていました。でも、どちらも出オチで負けてますけどね。
 ふるさとのことを忘れた日はありません。これからも全面的に東北を応援していきたいです」


今年のお正月も地元へ帰りリフレッシュした華怜ちゃん

 力強く語る裏には、ある決意があるという。
「震災で大変なときに、自分だけ地元を離れてしまっていいのだろうかという思いがありました。だから、自分が地元で手助けをできない分、絶対に東京で活躍して恩返しがしたいと思いました。そのために『ただでは戻ってこない』って誓ったんです。
 アイドル活動は本当に大変です。もしも私に、すぐに戻れる東京に家があって、『いつでも帰っておいで』という甘い家族がいたら、すでにAKB48を辞めていたかもしれません。でも、辛いことがたくさんあってもがんばれるのは、後戻りできない状況があるからなんです」


まだ15歳にもかかわらずとってもしっかりとした口調で話す華怜ちゃん


■地元では“ゴリラ”だった!?

 わずか12歳で大人の世界に入り込むのは、いかほど大変だったのだろうか。普通の中学生では感じ得ないプレッシャーにさらされてきたことに驚かされるばかりだ。

「私の中学生生活は、AKB48一色だったような気がします。振り返ってみると、運動会にも合唱コンクールにも一度も参加していません。でも普通ではない経験がいっぱいできたのでもちろん後悔はしていないし、むしろその経験を無駄にしないように結果を出したいです。
 たまに、自分はアイドルでもあり被災者でもあり、仙台人でもあり東京在住で……と、自分の立ち位置が分からなくなることがあります。だから『WUG』に出てくる島田真夢ちゃんの設定はなんだか不思議な感じがします。アイドルだったのに、地方の公園でひとり歌を歌っているなんて……。
 私には地元に帰ると、今でも私のことを“ゴリラ”って呼んでくれる友達がいます。私、男の子みたいだったのでゴリラって呼ばれていたんです。その頃から思っていたように、私にとってアイドルとは、最終目標ではなく経験。この経験を経て、将来心からやりたいことができている自分でいたらいいな」


こんなかわいいゴリラがいるはずがない!

 なんだかしんみりした口調と思えるかもしれないけれど、彼女は未来への夢であふれている。

「もともとブロードウェイのステージに立つことが目標だったんです。でも、AKB48に入っていろんなことを経験したら、目移りしてしまって。アニメが好きなので声優にも興味がありますし、私、ファッションセンスがないので、逆にモデルとかやってみたいですね。
 以前、アニメ『AKB0048』で声優をやらせてもらったんです。だから、仙台を舞台にした『WUG』には、ぜひ出たいと思っていました。もし間に合うなら、どんな役でもいいので出してくださ〜い! 山本監督、スタッフさ〜ん、よろしくお願いします!」


■アイドルとは応援したくなる子

 マンガ・アニメ・ラノベが好きな彼女は、コスプレも好き。実は男装の方が好きなのだとか。都内某所を学生服で歩いている美形男子がいたら、それは華怜ちゃんかもしれない。どんな作品が好きなのだろうか? 「『進撃の巨人』『黒子のバスケ』など少年マンガ系が大好きですね。あと、『AKB0048』の脚本を担当されていた、岡田麿里さんが好きなので、今シーズンですと『凪のあすから』を見ています。実写化された『僕は友達が少ない』や『黒執事』も見てみたいです!」


「仙台名物ささかまをみんな食べてね♪」

 好きなアニメの話しになると目をキラキラさせた華怜ちゃん。まじめに被災地について語っていた雰囲気とはまた違い、ギャップ萌えである。
 華怜ちゃんいわく「アイドルとは、応援したくなる子」とのこと。
 今回のインタビューを通じて感じたのが、まさにこのことだ。

 若干15歳にもかかわらず、自分の考えを自分の言葉でしっかりと語る姿にスタッフ一同もメロメロに。三次元での推しメンは、華怜ちゃんにしようと誓ったのであった。
 これを読んだみなさんも、握手会などでぜひアイドルらしからぬアイドル、華怜ちゃんの魅力に触れてきていただきたい。


AKB48のプロフェッショナルなパフォーマンは、ぜひ劇場で見て欲しい!

(取材・文=武藤徉子、撮影=AKS、橋本 竜)


■PROFILE
岩田華怜(いわた・かれん)
1998年5月13日生まれ、宮城県出身。
横山チームA所属。
キャッチコピーは「可憐で華麗な伊達娘。」
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・AKB48公式HP
http://www.akb48.co.jp

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