タワレコアニメ担当者インタビュー。『自由への進撃』の裏話も!

アニメ

更新日:2014/2/26

 アニメ好きやアニソンファンの情報源として人気のタワーレコード アニメアカウント (@TOWER_Anime)。その“中の人”古波藏誠さんに、前回はタワーレコードのアニメへの取り組み、そして本人がどれほどオタクかを聞いてみました。

 今回はその続きとして、さらに古波藏さんのオタク歴やタワーアニメのマスコットキャラ、そして2013年のアニソンについて聞いてみます。


▲こちらが古波藏誠さん。かなりのオタクです。

――ご出身はどちらですか?

古波藏:沖縄です。民放が2局という、オタクとしてはかなりハンデがある地域で。

広報:2局!? 今もですか?

古波藏:今は3局になりました。フジとTBS、テレ朝系列ですね。日テレはいまだに入りません。これに沖縄なので、FENという軍の放送がありました。

――それだとあまりアニメが放送されていませんよね。

古波藏:そうなんですよね。当時はレンタルもあまりなかったですし、あとは映画館で観るしかないですね。本屋でも、アニメ系雑誌は奪い合いでしたよ。その時期は『ロードス島戦記』の影響でTRPGをプレイしたり、雑誌の最後にあった文通欄で同じ沖縄が住所の人を探して、一緒に映画を観に行ったりしていました。

――その後、大学進学などで沖縄を出られた?

古波藏:そうです、大学で広島に行きました。ただ広島もテレ東系が映らないので、ビデオをレンタルしまくったり、東京に行った友人に録画したビデオを送ってもらったりしていました。

――その後、就職で東京に来られた、と。ようやくテレ東を観られるようになりましたが、今は一週間に何本くらい観られていますか?

古波藏:12、3本でしょうか。リアルタイムで見てるのは7本くらいです。趣味なので無理はせず、楽しんで観ています。

――これまで、特に好きだったキャラクターなどはいますか?

古波藏:『ファイブスター物語』をずっと読んでいたので、永野護さんのキャラクターは好きですね。あとは女性キャラだと『北へ。』とか大好きでしたね。『AIR』や『YU-NO』、『きゃんきゃんバニー』といったゲームも好きですし、今年は『グリーングリーン』のリメイクを堪能しました(笑)

――少し話がずれますが、タワーアニメには田和玲子(たわれいこ)という萌えキャラクターがいます。これも古波藏さんが関わっているとか。

古波藏:えぇ、キャラクター設定を全部作りました(笑)。髪の長さや色とか、質感とか、自分の妄想を全部入れてヤスダスズヒト先生(『夜桜四重奏 ~ヨザクラカルテット~』や『デュラララ!!』などで知られるイラストレーター)にお見せして。あとは胸のサイズとかも。本当に真面目な会議なのにホワイトボードに「胸のサイズ 大、中、小」みたいに書いたりして。会議は非常に盛り上がりましたね(笑)


▲音楽やアニメは広く浅く楽しんでいるという設定の田和玲子


▲こちらはタワーアニメ店長の平島和音。見た目通りのクール系

――この平島という名前は、タワーレコード本社のある平和島にかけているんですか?

古波藏:そうです。名前は全部語呂合わせです。ただヤスダ先生のデザインで“平和島”だと、すでに別のキャラクターがいるので、「さすがにそれはマズいかな」と思いアナグラムにしました(笑)。ヤスダ先生は「平和島じゃないんだ」と笑っていましたけど。実はキャラクターの声優さんも決まっていて、田和玲子は竹達彩奈さんです。今後も色々展開をする予定なので、期待してください。それと、まだ公表してないですが、実はもっと細かいプロフィールもあります。好きなアニメや食べ物、誕生日とか。家族関係まで作りこんでいます。

――古波藏さんのオタクキャリアが伺える話ですね(笑)。次は少しアニメから離れた質問ですが、好きな音楽ジャンルは?

古波藏:何でも聴きますが、アニソンと平行してずっと聴いているのはYMOやクラフトワークといったテクノですね。それからナゴムレコードが出てきて、筋肉少女隊や電気グルーヴにいって、最終的にはガバとかハードコアに落ち着きました。

――アニソンではなかなか聞かないジャンルです。

古波藏:そうですね。ただアニソンは結構ブートリミックスが多いじゃないですか。だから今はその辺りの曲をメインで聴いています。

――ここからは2013年のアニソンについて伺いします。アニメ担当として印象に残った楽曲などはありますか?

古波藏:タワーレコードとして外せないのはLinked Horizonですが、個人的には2012年末に発売した『ジョジョの奇妙な冒険』のオープニング『ジョジョ ~その血の運命~』も思い出深いです。アニメが始まってメーカーさんに伺った時に初めて曲を聴いたのですが、昨今あまりない、作品名を叫びまくっているところにめちゃめちゃシビレまして。しかも作曲が田中公平先生。「これは間違いないですから! 今どきこんなド定番なアニソンないですよ! おしゃれ感ゼロですけどそんなの関係ない、2013年のアニソンはこれですよ!」と力説したんですけど、誰もノってこなくて(笑)。とはいえ、価格設定を抑えていたこともあってかなり売れたんですけどね。Linked Horizonの『自由への進撃』については、Sound Horizonが元々タワーでものすごく人気だったとはいえ、ここまで売れるとは思わなかったですね。

――そんなに売れたのでしょうか?

古波藏:タワーレコードの年間アニメ主題歌ランキングで1位です。『自由への進撃』はショップごとに特典となるジャケットの絵柄が違ったんです。それで、タワーレコードの特典絵柄の選択肢として、リヴァイがあったんですよ。それを選ぶ時点ではアニメには一度も出ていなかったものの、原作を読んでいた自分は、「これはイケる!」とガッツポーズしましたね(笑)

――女性向けに強いアニメイトさん辺りがリヴァイを選びそうな感じがしますもんね。

古波藏:CDリリースの7月のタイミングでリヴァイの特典なら爆発しないわけがないと思って。最終的にリヴァイに決まった時はメーカーさんに5回くらいしつこく確認しましたもん(笑)。それで特典を発表したら予約が倍々どころでなく、ねずみ算式に増えていって。毎日メーカーさんに追加のお願いをしていました。

――ちなみにLinked Horizonのヒットのおかげで、Sound HorizonのCDが売れましたか?

古波藏:残念ながらそれほど……まとめて展開などはしていたんですけど。ただファン層は拡大したので、その後の新作はかなり伸びました。

――ほかに印象に残ったアニソンは?

古波藏:僕はやなぎなぎさんの『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』オープニングの『ユキトキ』一択ですね。今年は完全にこの1曲にやられました。

――『ジョジョ』ではなく?

古波藏:『ジョジョ』は僕の中の男が反応したんですけど、『ユキトキ』は僕の乙女の部分が反応したんですよ! 歌詞も曲も、作品に寄っているところがいいですね。歌詞はヒロインの雪乃の心情を歌っていると個人的には思っているのですけど、アニメでも原作でも雪乃はデレまでいってないんです。でも、その秘めたデレ感が歌詞の中にそっと盛り込まれていて。僕は原作も好きで、やなぎなぎさんも好きで、作曲がROUND TABLEの北川勝利さんで。僕の好きなものが全部てんこ盛りで「こんな完璧なアニソンはないだろ」って感じでした。

――アーティストや声優で今年の新人賞を上げるとすれば?

古波藏:今年だと小岩井ことりさんでしょうか。主役も増えてきてますし、アニメ流行語大賞の1位も「にゃんぱすー」でしたし。

――今年気になっているアニメは?

古波藏:僕が注目してるのは『シドニアの騎士』です。曲線系ロボ好きとしても、男装女子(含む両生有具)好きとしても楽しみです。原作も大好きですし、アニメもPVを観る限りよさそうな雰囲気でしたしね。

――最後の質問です。今年やってみたいことはありますか?

古波藏:タワーアニメとしてはまたイベント(※タワレコ主催“アニ☆ソン!NO ANIME, NO LIFE.”を5月に開催した)をやりたいですし、キャラクターをもっと立たせたいです。グッズを作ったり、あわよくばコミケで販売したりしたいな、と。個人的にはもっと色んなイベント……男性声優のライブや、ミュージカルも行ってみたいです。

 古波藏さん、ありがとうございました! 話を聞いてわかったのは古波藏さんがとにかくオタクであること、そしてそれを活かして本人も、そしてユーザーも楽しめるようTwitterアカウントを運用していることでした。今後も楽しいツイートを期待しましょう!

(文=はるのおと)

タワーレコード アニメ

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