伝勇伝、いつ天の次は『終わりのセラフ』! 鏡貴也原作のアニメ化作品を振り返る

アニメ

公開日:2014/9/24

先日、『伝説の勇者の伝説』、『いつか天魔の黒うさぎ』などの数々の大人気ライトノベルを生み出している鏡貴也氏が原作を手掛ける『終わりのセラフ』のアニメ化が発表となった。


鏡氏は、『武官弁護士エル・ウィン』で第12回ファンタジア長編小説大賞準入選を受賞。その後2002年2月から『伝説の勇者の伝説』も刊行され、今も続いている超ロングセラー作品となっている。その他にも、『いつか天魔の黒ウサギ』、『黙示録アリス』、そして同人誌として出された『彼女が望んだ僕の世界』などを手掛けている。

今回アニメ化が決定した『終わりのセラフ』は、人間と吸血鬼の戦いが描かれたダークファンタジー。舞台は、ウィルスによって人口が激減した日本。突如現れた吸血鬼の支配下で、人々は脅威にさらされていた。主人公は、吸血鬼に家族を殺された「百夜優一郎」。吸血鬼に対抗できるのは、日本帝鬼軍が誇る吸血鬼殲滅部隊のみ。優一郎は、親友や家族を殺した吸血鬼への復讐心を胸に、軍に身を置き吸血鬼と戦うと決意する。
キャラクターの心情や戦闘シーンが多く描かれているこの作品は、一体どのようなアニメになるのだろうか。今から期待が高まる。そして今回、そんな本作を生み出した鏡貴也氏の作品の中から、過去にTVアニメ化された『伝説の勇者の伝説』、そして『いつか天魔の黒ウサギ』を改めてご紹介しよう!

■『伝説の勇者の伝説』
『伝説の勇者の伝説』、『大伝説の勇者の伝説』、『とりあえず伝説の勇者の伝説』、『真伝勇伝・革命編堕ちた黒い勇者の伝説』の4作品から構成されている、通称“伝勇伝”。2010年7月より12月までTVアニメとして放送された。
主人公は、ローランド帝国王立特殊学院の学生「ライナ・リュート」。ライナはいつも寝てばかりのやる気のない劣等性で、昼寝をして過ごすことを望んでいた。しかし、敵国のエスタブール王国が戦争をしかけてきたことで、学院の生徒たちは戦争に送り込まれることとなる。そこで学園の優等生で王族の血を引く「シオン・アスタール」が上に掛け合い、ライナやその友人「キファ・ノールズ」、タイルやトニー、ファルを含むシオンのグループは安全な地へ向かったはずだったのだが。しかし実は、それはシオンを暗殺するための罠だった。結果、この戦いでライナたちは、仲間の多くを失ってしまう。
戦後、様々な苦難を乗り越えローランド帝国国王となったシオン。そんなシオンの命令で、ライナは代々国王を守っている剣の一族の女「フェリス・エリス」と共に、”勇者の遺物”を集める旅に出かけることとなった――。

忌み嫌われる魔眼“複写目(アルファスティグマ)”を持つことで悲惨な人生を歩んできたライナの口癖は、「めんどくさい」。それは、望まずに多くのものを背負わされた彼の、自己防衛のための言葉。しかしシオンやフェリスとの出会いやすれ違いにより、ライナは自分の弱さを克服し、現実に立ち向かっていく。とてもここでは語りつくせない、壮大で悲惨で、優しい物語。

 TVアニメでは、神がかったOPとEDに感動したファンが続出。アニメオリジナルの話であった第1話で世界観を伝え、2話から本編へ。動くライナやフェリスはもちろんのこと、なんだか可愛くなっているシオンやティーア、魔法の展開や戦闘シーンなど、見どころ満載。DVDやBlu-rayには、鏡氏の書き下ろし小説という豪華特典が付き、特典目当てで購入する人も。

■『いつか天魔の黒ウサギ』
2011年7月から9月までTVアニメとして放送された『いつか天魔の黒ウサギ』。主人公は、最古の魔女(ヴァンパイア)「サイトヒメア」のかけた呪いにより、15分で7回殺されないと死なない主人公「鉄大兎」。この物語は、『いつか天魔の黒ウサギ』、『紅月光の生徒会室』で構成されており、“いつ天”と呼ばれ親しまれている。
全ての始まりは9年前。まだ幼かった大兎はサイトヒメアと出会い、彼女とある約束を交わしていた。その後大兎はヒメアの記憶を消されてしまったが、ヒメアはその約束のために78840時間という気の遠くなる長い年月、囚われの身となり続けていた。そして大兎がヒメアとの約束を思い出したその時、平凡だった彼の日常は、再び大きく歪み始める。
超絶的な魔術の力と凶剣(スペルエラー)を持つ生徒会長「紅月光」、キスで月光に縛られた雷の悪魔「美雷」など、日常を破壊する者たちが次々と大兎の前に姿を現す。

9年間思い続けてきたヒメアの一途な思い、そして大兎の幼馴染「時雨遥」の思い。しかし複雑に絡み合う呪われた運命は、どこまでも残酷で。世界は大兎の見た予言通りに進んでいく。これでもかと絶望を突きつけられるこの物語だが、最後には――!?

TVアニメでは、サービスシーンが満載となったいつ天。可愛いヒロインたちをあらゆる角度から堪能させてくれる映像に、思わず何度も一時停止したのではないだろうか? もちろんダークなシリアスシーンや戦闘シーンもたくさん描かれ、アニメならではの萌えも迫力も満点の作品に仕上がっている。

どの作品もファンタジー色が強く、心を強くえぐられる。ダークファンタジー好きにはたまらないものばかりだ。キャラクターも、それぞれにそれぞれの想いがあり、嫌なキャラが誰もいない!と言っても過言ではないくらいに魅力的だ。1人1人が大切に描かれている。まだ鏡さんの作品に触れたことのない人は、これを機にぜひとも手にとって読んでみよう。

文=月乃雫