トランプ政権は日本にとって追い風になる? 元内閣官房参与・藤井聡が日本再生の道を語る『トランプ・ディールで日本復活!』リリース
公開日:2025/6/16

2025年6月11日(水)、『トランプ・ディールで日本復活!』(ポプラ社)がリリースされた。過去に安倍晋三内閣で内閣官房参与を務め、日本経済の表も裏も知り尽くす著者の藤井聡氏が、同書を通して今の日本を再生するために必要な8つの戦略を提言していく――。
藤井氏は京都大学大学院教授のほか、『newsランナー』(関西テレビ)などのニュース番組でコメンテーターを務めている人物。また、インフラに特化した異色のバラエティ番組『ももいろインフラーZ』(TOKYO MX)では解説としてレギュラー出演するなど、さまざまな分野で深い知見を披露している。
そんな藤井氏は、以前から自著を通して経済的低迷が続く日本へ提言を行っている。たとえば2022年に上梓した『日本滅亡論 中国に喰われるか、大国に返り咲くか』では、衰退する日本経済へ警鐘を鳴らし、『消費税減税ニッポン復活論』では消費税の問題点をあぶり出していた。
そして今回上梓した『トランプ・ディールで日本復活!』で藤井氏は、日本再生のカギとしてドナルド・トランプ大統領を取り上げていく。バブル崩壊以降続くという「失われた30年」を取り返すために、藤井氏は「トランプ政権を活用せよ」と提言するのだ。
前書きによると、この30年間で多くの欧米諸国では賃金が2倍程度にまで上昇した一方で、日本は横ばいの状態が続いているという。さらに、2000年には世界2位だったひとり当たりのGDP(国内総生産)は韓国に抜かれ、2023年にはOECD(経済協力開発機構)加盟国中22位に転落してしまった。
かつては豊かな国だった日本が「経済小国」になりかねない今、藤井氏はトランプ政権が引き起こしている“世界的な変化”が日本を復活させるチャンスになり得ると語る。いわく、トランプ大統領は反リベラリズムと反グローバリズムを推進させて、アメリカをナショナリズム、保守主義、保護主義へと導こうとしているそう。
その潮流は世界にも及んでおり、この流れにイチ早く乗った国が“新しい時代”の勝者になると予測。逆に乗り遅れれば乗り遅れるほど、国家として弱体化していくと断言する。その上で今、適切な政策の決定と実行ができれば日本は大復活できるとのことである。
では日本を再生するため、具体的にどんな政策を打ち出す必要があるのか。藤井氏はアメリカからの「独立」を目指すべきとした上で、「財政規律の適正化」「178万円への壁引き上げ」「ガソリン税減税・消費税減税」「国土強靱化・地方創生の拡大」「地方支援(地方交付税交付金)の充実」「重要公共サービスの賃金引き上げ」「トランプ政権との連携を通した『協調的保護主義』の推進」「トランプ政権との連携を通した『過剰医療』の適正化」の8つの戦略が日本の再生につながると解説する――。
トランプ政権との向き合い方や、その活用法を藤井氏ならではの視点で語っていく『トランプ・ディールで日本復活!』。同時にアメリカを中心とした近年の世界情勢も学べるのが大きな魅力となっている。
終盤に収録されている国際政治アナリスト・渡瀬裕哉氏との対談も踏み込んだ内容となっているので、興味のある人は同書を手にとってみてほしい。