『クジ砂』作者の“新感覚”和風ファンタジー! 大切なものを失った青年の異世界再生譚『邪命邪魅』
公開日:2026/3/27

戦場から生き延びた青年を待っていたのは――。“クジ砂”こと『クジラの子らは砂上に歌う』の原作者・梅田阿比氏による最新作『邪命邪魅(じゃみじゃみ)』(白泉社)のコミックス第1巻が、2026年3月27日(金)に発売された。
著者の梅田氏は、バレーボール漫画『フルセット!』や和風ホラー『幻仔譚じゃのめ』などで知られる漫画家。なかでも『クジラの子らは砂上に歌う』は「このマンガがすごい!2015」の「オンナ編」10位にランクインした話題作で、テレビアニメ化や舞台化などのメディアミックスも展開された。
その梅田氏が新たにおくる『邪命邪魅』は、奇々怪々な世界を舞台とした和風ファンタジー。2025年5月より『ヤングアニマルZERO』で連載が始まった作品で、緻密な世界観と唯一無二の画力で多くの読者を魅了している。
時は1946年、これは戦争によって右手右足を失った青年・良(りょう)の物語。終戦からまもなく故郷の京都に帰還するも、彼を待っていたのは安堵でも歓迎でもなく、自分自身への深い絶望だった。何もできない、大切な妹も守れない。そんな感覚に心の内側をジワジワと蝕まれていく中、とある神社で“謎の声”を耳にする。
声の主は「鳥居を越えるな」「越えたら本当に戻れなくなる」と良に警告するが、状況が飲み込めない彼はつい鳥居をくぐってしまう。その瞬間、目の前に巨大なバケモノが現れ、次に目を覚ましたときには奇々怪々な“異世界”へとたどり着いていた。
この世界には“異形”の姿をした者たちが存在し、頭に角が生えた者たちは「神亡人(カムト)」、獣のような姿をした者たちは「獣者(シシモノ)」と呼ばれている。中でも獣者は「オニガミ(オニは鬼に申、ガミは身)」というバケモノを倒す力を持つ存在。異世界にたどり着くと同時に、その力を手に入れた良は、大切な人たちを守るためにバケモノとの凄惨な戦いに身を投じていく。
現実世界では右手右足を失い、たったひとりの妹を守ることすら叶わなかった良。その彼が喪失と変容を同時に背負いながら、それでも誰かのために命を懸けようとする姿には、多くの読者が心を揺さぶられるはず。痛々しくもありながらどこか清々しさもある、そんな主人公の生き様が『邪命邪魅』の大きな魅力だ。
戦後という閉塞感の漂う時代から弾き出され、異世界という非日常のなかで新たな使命を背負った主人公。果たしてその先には、一体どのような未来が待ち受けているだろうか。
