大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』とマンガ『日に流れて橋に行く』を繋ぐ、商品を手に取る喜び【日高ショーコ×森下佳子対談】

マンガ

更新日:2026/4/27

『日に流れて橋に行く』1巻
『日に流れて橋に行く』1巻  (日高ショーコ / 集英社)
『日に流れて橋に行く』 12巻
『日に流れて橋に行く』 12巻 (日高ショーコ / 集英社)

 江戸時代中期に活躍した版元で“江戸のメディア王”とも呼ばれた蔦屋重三郎を主人公に描かれた大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』。そのシナリオライター・森下佳子が今、愛読しているのがマンガ『日に流れて橋に行く』(集英社)だと言う。明治時代の経営難に陥っている呉服店を主人公・虎三郎が立て直していく物語だ。著者・日高ショーコと森下佳子の対談が実現! 江戸と明治、時代は違えど人が売り物を手にできる商店が描かれていること、店が東京・日本橋にあることなど、作品の共通点を軸に語っていただきました。

――『日に流れて橋に行く』は明治時代の呉服店をテーマに描かれていますが、呉服店に魅力を感じたキッカケは何でしたか?

日高ショーコさん(以下、日高):2014年に、森鷗外記念館で開催していた特別展『流行をつくる-三越と鷗外-』をみたのがキッカケでした。そこで購入した図録に収録されていた、森鷗外の短編小説『流行』が面白くて。“僕が身につけたものは全て流行になる。だから全ての店が商品を持ってくる”という描写に“いいな”と思って。“作られる流行”の是非も書かれていて、これが三越の広報誌に掲載されていたというのもすごいなと。“経営難の呉服店と支えるお金持ちの人が出てくる話にしよう”からお話作りはスタートしていきました。

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森下佳子さん(以下、森下):そうだったんですね。それで呉服店が舞台に!

日高:はい。当初は三越をそのままモデルにしようかとも思ったのですが、三越の歴史は有名すぎますし、リアルタイムで存在しているお店なので難しいかな…ということで、架空の呉服店にしました。架空のお店なら、自分たちの好き勝手にすることもできるので(笑)。それに当時のことを調べていくと、実際に消えた呉服店は多くあります。さまざまなお店が淘汰されてきた中で、今残っているお店があるというか。じゃあその生き残りレースの中で、一度抜けた店があってもいいかという結論に至って、呉服店・三つ星を作っていきました。

森下:調べていく中で想像が膨らんでいくのはわかります。

日高:『べらぼう』でもありましたか?

(C)2025・2026 NHK
(C)2025・2026 NHK

森下:主人公・蔦重が育った吉原にいる花魁・瀬川はまさにそんな感じでした。瀬川は実在した花魁ですが、私が彼女について事前に知っていたのは“当時瀬川という有名な花魁がいる”ということだけ。蔦重と一緒に吉原をよくしていく同志としてカップリングできないかな…と、そういう事実はないけれど想像をしていたのです。時代考証の先生方も「事実はわからないから、まあいいのではないか」とおっしゃっていただいて、進めていく中で『青桜美人合姿鏡』に瀬川を描いた絵を見つけました。『青桜美人合姿鏡』は蔦重が編集した錦絵本。そこに描かれていた瀬川がなんと、本を持っていたんです。それを見て“蔦重と瀬川が同志”というのは、天からのお告げだったのかなと思ったほど! 調べている途中にこの事実に触れたことで“もうこれでやらせていただきましょう!”となりました。

日高:すごい! そういう事実を見つけると一気に話が動き出しますよね。

森下:まさに。歴史をひもといていくうちに、思わぬ養分をもらった感覚です(笑)。

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