知らない天井 / 絶望ライン工 独身獄中記 第67回

暮らし

公開日:2026/4/15

知らん人と知らん人の不倫騒動でネットはもちきり。
どちらも顔も名前も知らないが大そう有名な芸能人であるらしい。
でも知らない。私はまったくテレビをつけない人類である。
一応アンテナ線は繋がってはいるが、うちの東芝レグザはゲームを起動するためだけに存在している。

それ以外は金曜ロードショーで紅の豚を上映する時と、選挙速報と、正月の駅伝くらいしか観ないのだから仕方がない。
部屋のテレビに映る顔ランキング上位は格闘ゲームのリュウと不知火舞、次いでエアリス、富士通のべナード・キメリ選手と続く。
人並みに醜聞は好きではあるが、知らん人のスキャンダル程どうでもいい事はない。

数年前の「マッケンユウ」と「アヤノゴウ」がどうたらこうたらの時も、10人位いる登場人物誰も知らなくて記事を見かける度ファイナルファンタジーみを感じていた。
「ファルシ」はクリスタルを内包しており、人類を「パルス」から守るために「コクーン」を築いた。
聖府に「パージ」される「パルス」の「ファルシ」が生んだ「コクーン」に属さない物は外なる異物と呼ばれた。
「パルス」の「ファルシ」の「ルシ」が「コクーン」で・・・

最近の芸能人に疎い自分でも、テレビを観る時間を動画投稿サイトの視聴に費やしているのだからそちらは逆に詳しくなる。
殊に同ジャンルである日常系の投稿者に於いては随分と解像度が高い自負があります。
チャンネル登録者1万人以上の人気投稿者から100人くらいの人まで幅広く観ている。
もしこれを読んでいる方で「さすがに俺のことは知らないだろう」と思った日常系投稿者、たぶん貴方のことも知っているし観ています。
生配信とかにもいる。もうストーカーである。他人の日常って何でこんなに楽しいのだろう。

不動産のウェブサイトで引っ越す気もないのに間取りを眺める。
これがすごく楽しかったりするのに似ている気がする。
ここに冷蔵庫を置いて、テレビはここで、とあれこれ想像するのも実に趣がある。
知らない天井、知らない壁紙、知らない床材。
ただでさえ楽しい知らない間取りに、実際に人が住んで暮らしている様子を眺めることができるのが日常系動画の醍醐味であると感じる。

もし許されるなら、今住んでいるアパートの別の部屋を覗いてみたい。
同じ間取りで隣人がどのように暮らしているのか大変に興味がある。
壁も床も自分の部屋と変わらないのに、暮らす人が違うだけでまったく異なる部屋に感じることだろう、これは面白そうだ。

そしてインターネット勢力により居住地を特定された日常系投稿者、これは格段の深みがあるのだが、自身のそれを避けるため仔細ここに述べることは憚られるのでした。

<第68回に続く>

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独身獄中記

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絶望ライン工(ぜつぼうらいんこう)
43歳独身男性。工場勤務をしながら日々の有様を配信する。柴犬と暮らす。

本連載「独身獄中記」が本になります。
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