住野よる 最新小説『夜想い』をマンガで読む。『殺さない彼と死なない彼女』作者・世紀末が描き下ろす、“星空”を見上げてはいけない世界とは

文芸・カルチャー

PR 更新日:2026/8/21

 2026年7月24日(金)、住野よるの最新長編小説『夜想い』(双葉社)が発売された。作家生活10周年を記念して刊行された同作は、作者自身が「活動10年を迎えるにあたり、やり残していたこと」と語る、特別な思いを込めた一冊。もう会えなくなってしまった人々への思いを胸に執筆されたその物語には、どのような世界が広がっているのだろうか。

 2015年に『君の膵臓をたべたい』で鮮烈なデビューを飾った住野氏。同作は2016年の第13回「本屋大賞」で第2位、「Yahoo!検索大賞」では「小説部門賞」を受賞し、実写映画やアニメなど幅広いメディアミックスも展開される大ヒット作となった。以降も『また、同じ夢を見ていた』『よるのばけもの』『か「」く「」し「」ご「」と「』など、人の心の揺らぎや痛みに寄り添う物語を次々と発表。2025年にはデビュー10周年という節目を迎えている。

『夜想い』の舞台となるのは、夜空に輝く星の光に“毒”があると判明した世界。毒は目から吸収される性質を持ち、空を見上げ続けたり望遠鏡で観測したりすると、やがて身体に蓄積され、双極性障害に似た症状などを引き起こす。この病は「星空中毒」とも呼ばれ、人々は夜になるとツバのある帽子を被って過ごすようになった。

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 物語の主人公は、1年間不登校だった中学生・山下始。春から再び学校に通い始めた彼は、校内の廊下で倒れている女子生徒を見つける。彼女は高等部に通う遠山先輩で、「星空中毒」の罹患者だった。この出会いをきっかけに、始は遠山先輩や生徒会の向日先輩が所属する「空想研究会」へと入会。やがて彼女たちと親しかった、今は亡き“ツグミ”という男子生徒について知ることになるのだが――。

 遠山先輩はなぜ「星空中毒」になったのか。物語のカギを握る“ツグミ”とは何者なのか。また、1年間の不登校を経て学校へ戻った始にも謎がある。彼には大切な目的があり、そのために同じ学校にいるはずの“ある人”を捜していた。どうしても果たしたい目的とは何なのか。そして、“ある人”とは誰なのか。数々の謎が解き明かされる先で、“夜”に“想い”を重ねたタイトルの意味も、おのずと浮かび上がってくるだろう。

 より物語の輪郭を知るために、あらすじマンガにも目を通しておきたい。今回の新刊発売にあたり、『殺さない彼と死なない彼女』の作者・世紀末氏が『夜想い』のあらすじマンガを描き下ろしてくれた。作品の世界観に加え、「星空中毒」がどのような病なのかも理解しやすい内容となっている。

 中でも注目したいのは、昼と夜で大きく変わる遠山先輩の様子だ。前述した通り、「星空中毒」は双極性障害のような精神状態を引き起こす。昼間は倦怠感に襲われ、夜になると高揚感に包まれる。「ケイティでいいよ!」と笑顔で名乗り、すきっ歯の始を「スキッパー」と呼んで面白がる先輩の姿からは、「星空中毒」の特徴がよく伝わってくるだろう。

 見上げることを禁じられた星空は、少年少女に何をもたらしたのか。その答えは、ぜひ本編で見届けてほしい。

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