なぜSNS時代のホラーは人を惹きつけるのか?『記憶汚染展』と世界48か国で興収1位を記録した映画『バックルームズ』に共通する、“共有される恐怖”の正体【ダ・ヴィンチ・恐山×頓花聖太郎対談】

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更新日:2026/8/7

ネット時代のホラーは、“恐怖”そのものを共有しているというよりは、「恐怖を感じた」という体験を共有している

――せっかくおふたりが揃っていらっしゃるので、ネット時代のホラーというところについてもお伺いしたいです。今までのお話の中にもいくつかキーワードがあったと思うのですが改めて、今のホラーの現在地というか、「今だからこそできるホラー」とはどのようなものでしょうか?

頓花:それこそSCPやリミナルスペースもそうですが、みんなで物語を補強して世界観を作っていく、ネットロアと言われるような流れは本当にインターネット時代、ミーム時代だなと感じますね。

恐山:今って情報は簡単に共有できてしまうので、知識を得ることでは差が生まれない時代ですよね。だからこそ、個人的な体験に飢えているのかなと思っていて。ただ、これが個人的な体験なのかどうかわからないので、矛盾しているようですが「これを共有したい」という欲求も同時に生まれるわけです。

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 そこで『バックルームズ』みたいなミームは、内的に生じる恐怖感や独特の感覚みたいなものを疑似的に共有し合うことができる。そんな特殊な楽しまれ方をしているなと思います。つまり、今ネットでミームとして共有されるホラーって、「これ怖いよね」という知識を共有しているというよりも、「これを見た時に生じる感覚」を共有しているところがあるんじゃないかと。それってすごく不思議なことで、その感覚自体は共有できないんだけれども、「わかる」という形でつながっている。だから、ネット時代のホラーというのは、“恐怖”そのものを共有しているというよりは、「恐怖を感じた」という体験を共有しているところに特徴があるのかなと思っています。

頓花:確かに。昔は怖い話って、誰かひとりが作ってみんなが聞くものでしたけど、今はみんなで育てていくじゃないですか。「こういう設定もある」をどんどん積み重ねていって、ひとつの世界観になっていく。その楽しみ方自体が、今の時代ならではだなと思います。

恐山:SNSがあることによって、「これって自分だけかな」と思っていた感覚が、「みんなもそうだったんだ」と分かることもありますし、逆に「みんなそうだと思っていたけど、自分だけだった」ということもあるので。そのズレ自体、とてもホラーと相性がいいと思いますね。

取材・文=原智香 写真=島本絵梨佳

映画『バックルームズ』9月4日(金)公開

●あらすじ
舞台は、都市伝説とされていた空間“Backrooms”。「ある日突然 “現実世界の裏側”へ墜ちてしまったら…?」どこまでも続く黄色い壁紙の部屋、終わりのない廊下。不自然な間取りと、意味を失い床に埋まった設置物。わずかに現実からズレている――そんな出口のない“リミナルスペース”で、観客は“最高密度の不安と恐怖”を体験する。

●公式サイトhttps://a24jp.com/films/backrooms/

 © 2026 Backrooms Rights LLC, PC Films, LLC. All Rights Reserved.
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