「偽装彼氏」から始まる青春BL! 塩対応の年下後輩は、彼氏のフリなのに愛情表現がメロ過ぎて…!?【書評】
PR 公開日:2026/9/8

『勘違いだよね? 瀬尾くん。』(花倉ヨル:作画、木原あざみ:原作/スターツ出版)は、「偽装彼氏」から始まる、恋のトキメキと切なさを詰め込んだ青春BL漫画だ。
塩対応年下後輩×気遣い先輩の青春模様は――
平凡な男子高校生の遠坂一颯(とおさか・いぶき)は、誰にも言えない秘密「変なおじさんに絡まれやすい」という謎の体質に人知れず悩んでいた。
ある時コンビニバイトの新人として後輩の瀬尾くんが入ってくる。瀬尾くんは学校でも「王子」と有名のモテモテ美男子。一颯にとっては弟の友人でもあるのだが、第一印象はお互いにギクシャク。時にストレートな物言いをする瀬尾くん。他人に対して気を遣いがちで、本心を言えない一颯はちょっと苦手……。
そんな彼に自分の特異な体質がバレてしまった。馬鹿にされるかと思いきや、なんと「偽装彼氏」の提案を持ちかけられる。

恋人のフリをすることで、一颯は付きまとうおじさんを、瀬尾くんは女子からの告白を避けるための対策をしようというわけだが……。
塩対応だった年下後輩が、彼氏(偽装)になったら予想外にも甘々で…?
目的が一致しているならと、戸惑いながらも「偽装恋人」の提案を受け入れた一颯。しかしあくまで「フリ」のはずが、瀬尾くんは本気なのか、からかっているだけなのか、嫉妬したり優しくしてきたり、メロい愛情表現をしてくるではないか。

しかも、つらいことがあってもごまかす癖がついている一颯に、「笑いごとじゃないんだから笑う必要ないだろ」と、相手の気持ちにもしっかり向き合ってくれる瀬尾くん。

甘い胸キュン描写はもちろん、ふいに見せる瀬尾くんの真摯な一面。このギャップが生み出す高濃度のトキメキこそが、本作の大きな魅力だ。
好きになってしまえば、それは別れの合図
瀬尾くんの「まっすぐさ」や、自分の軸を持っている「強さ」に、一颯は「勘違い」だと分かっていても段々と惹かれるようになってしまう。
しかし偽装彼氏が成立しているのは、「一颯が瀬尾くんのことを好きにならないから」だ。
実は以前、瀬尾くんは幼馴染の女の子からの提案で偽装恋人をしてもらったことがあるのだが、女の子の方が瀬尾くんを好きになってしまい、関係がこじれてしまったことがある。そのため瀬尾くんにとって偽装恋人の第一条件は、「簡単に自分を好きにならないこと」なのだ。
だが一颯は、気持ちをごまかしようもなく、瀬尾くんに惹かれていってしまう。一緒にいられる時間は楽しい。もっと一緒にいたいと思う。一方でその想いは、瀬尾くんを裏切っているのと同じ。徐々に申し訳なさを抱えることになり……。

ある事件がきっかけで、一颯は瀬尾くんと距離を取ろうと決める。“好きだから”瀬尾くんのために離れようとする。“好きなのに”傍にいられない。この葛藤は、読んでいても切なくなってしまう。

気になっている読者も多いはずなので明言しておくと、本作はちゃんとハッピーエンドになるのでご安心を。嘘から始まった関係だからこそ、本音でぶつかり合う姿に胸が締め付けられ、最後までページをめくる手が止まらなくなる。
不器用なふたりが織りなす、甘酸っぱさと不意打ちのトキメキ。恋の痛みに共感し、ふたりの行く末を全力で応援したくなる最高の青春BLを、ぜひその目で確かめてほしい。
文=雨野裾
