香取慎吾「赤楚くんは、まっすぐスッと役に入っていく姿がかっこよかった」。死刑制度や贖罪をテーマにした『虚ろな十字架』ドラマ化【インタビュー】

ダ・ヴィンチ 今月号のコンテンツから

公開日:2026/9/30

※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年10月号からの転載です。

 死刑制度や贖罪をテーマにした『虚ろな十字架』は、東野圭吾さんの小説を原作とした社会派サスペンスドラマ。香取さん演じる中原道正は、11年前のある事件を機に妻と別れ、今も癒えない傷を抱える男性だ。そのうえ元妻も殺害され、さらに苦悩を深めていく。明るく朗らかな香取さんのイメージとは、かけ離れた役柄だが……?

「僕の出演映画『凪待ち』をご覧になった瀬々監督からお声がけいただき、ふたつ返事でお引き受けしました。でも、もう少し考えるべきだったかな(笑)。中原の人生は困難続きで、やっと前に進めるかと思ったら、また違う角度から矢が飛んできて……の連続。それを、嘘くさくなくリアルに描いているんです。誰しも生きていれば苦しい時、下を向いてしまう時はありますよね。乗り越えられずに、苦しみをまとったまま生きることだってある。その時はぐったりするけれど、一歩引いて見るとそれも人生において大事な時間。一つひとつが大切なシーンだからこそ、難しさも感じました」

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 中原を演じたことで、日々のニュースの見方も変わったそう。

「中原は、11年前の事件から整理がつかないまま、どこにも進めずにいます。別れた奥さんは怒りを原動力にして突き進んでいくけれど、中原はそれもできない。周りがどんどん動く中、どうしていいかわからず、もどかしさを抱えています。『たったひと言で終わるようなニュースの裏にも、こんなドラマがあるんだ』と僕自身も新たに気づくことが多かったです」

 ヘビーな作品だからこそ、共演の赤楚衛二さんとのコミュニケーションにも気を遣ったそう。

「赤楚くんは、まっすぐスッと役に入っていく姿がかっこよかったですね。ただ、演じる役柄上、会話が弾むと撮影に影響しちゃいそうで。最近気づいたんですけど、僕はコミュニケーションの取り方が不器用なのかも」

 集中して役に向き合い、今の香取さんだから演じられる中原像を描き出した。

「僕が俳優として、人間として重ねてきた経験は、作品にも滲み出ると思うんです。自分の人生についても、あらためて振り返る機会になりました。そのいっぽうで、各話の最後は『早く続きが観たい!』という展開になっているのが悔しくて(笑)。僕も一視聴者として、放送・配信を楽しみにしています」

取材・文:野本由起 写真:TOWA
ヘアメイク:石崎達也 スタイリング:黒澤彰乃(rises)

かとり・しんご●1月31日、神奈川県生まれ。91年、CDデビュー。歌手、俳優、タレント、アーティストとして幅広く活躍。現在、テレビ『しんごの芽』、ラジオ『ShinTsuyo POWER SPLASH』、配信『ななにー 地下ABEMA』にレギュラー出演中。主演映画『高校生家族』が、2027年1月公開予定。

連続ドラマW 東野圭吾『虚ろな十字架』

原作:東野圭吾『虚ろな十字架』(光文社文庫刊) 監督:瀬々敬久 脚本:杉原憲明 音楽:安川午朗 出演:香取慎吾、赤楚衛二ほか 製作著作:WOWOW 9月6日より毎週日曜22時〜放送・配信 第1話無料放送(全4話)

「死刑制度」に真正面から切り込んだ東野圭吾氏のベストセラー小説を、瀬々敬久監督がドラマ化。中原道正(香取慎吾)は、11年前に起こったある衝撃的な事件を機に、妻の小夜子(鈴木杏)と離婚。だが、いまだ過去の悲しみと向き合えず、孤独と虚しさを抱えて日々を過ごしていた。そんな中原の前に、11年前の事件の担当刑事が現れ、小夜子が路上で何者かに殺されたと告げる。意外にも犯人はすぐに逮捕されるが、その証言には不可解な点が多い。中原は、事件の真相を知るべく、自分と別れてからの小夜子の足跡をたどることに。その過程で、彼は小夜子を殺害した加害者家族のひとり、仁科史也(赤楚衛二)と出会うが……。最愛の家族を殺された時、犯人に何を望むのか。罪は償うことができるのか。答えのない問いに挑む、衝撃の社会派サスペンス。

ダ・ヴィンチ 2026年10月号 [雑誌]

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虚ろな十字架 (光文社文庫 ひ 6-14)