石井玄「企画はまず通すことだけ考える」。ポッドキャストのプロデュースやイベント演出を手掛けるヒットの仕掛け人が“上司を説得できる企画書の書き方”を語る【インタビュー】

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更新日:2026/9/25

 2020年頃まで『オールナイトニッポン』のチーフディレクターとして活躍し、近年はポッドキャストを20番組以上プロデュースし、東海オンエアや令和ロマンの単独公演でイベント演出を手掛けるなど、マルチに活動する石井玄さん。同時にいくつものビッグプロジェクトを抱えるヒットの仕掛け人は、いかに企画を成功させ、チームを束ねているのか。自身にとって初のビジネス書となる『「自分でやらない」ほうがうまくいく』(PHP研究所)をひもときながら、その仕事術をうかがった。

『「自分でやらない」ほうがうまくいく 信頼されている人だけが知っている7つのルール』
『「自分でやらない」ほうがうまくいく 信頼されている人だけが知っている7つのルール』(石井玄/PHP研究所)

企画はどんどん変化していくもの。だからまずは企画を通すことだけを考える

──ラジオ番組のディレクターであるのみならず、大きなイベントのプロデュースなども手掛けていらっしゃる石井さんの仕事術は多くの方にとって興味のある内容だと思います。そもそものお話になりますが、本書はどのような経緯で生まれたものだったのでしょう?

石井玄さん(以下、石井):この本の〈はじめに〉にも書きましたが、担当編集者さんから「仕事で企画を上手く通すことができない」と相談を受けたのがきっかけでした。そこで、“どうすれば上司を説得させられる企画書を書くことができるのか”といった僕なりの解決策を話しているうちに、そのままこれを本にしてみてはどうだろうという流れになったんです。もちろん、それだけでは足りないので、いわば、この本の企画自体もやや実験的なものでしたね。

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──これまでに石井さんは2冊のエッセイを書かれていますが、ビジネス書は初めてになりますね。

石井:そうなんです。ですから最初は、「ビジネス書ならあまり書きたくないなぁ」とやんわりとお断りしたのを覚えています(笑)。

 というのも、当然ながら、仕事って業種やプロジェクトの内容、それに職場の環境や人間関係などによって、それぞれやり方が違ってきますよね。それに合わせて、自分の立ち回り方だって変わってくる。にもかかわらず、ビジネス書の多くが総論的に解決策を語っているから、“これは自分には当てはまらないな”ということが往々にしてあると思うんです。それもあって、僕はこれまでビジネス書を参考にしたことが一度もなく、そんな自分にビジネス書を書くことはできないと思ったんです。

──でも、周囲からの相談に対して、自分の経験をもとに答えるという形であればできる、と?

石井:そうです。また、そうやって自分の仕事のやり方を客観的に振り返っていくうちに、どんどんと僕の中で“何を書くべきか”という解像度が上がっていった感じですね。ですから、書いていく内容も、当初から徐々に変わっていきました。担当編集者さんにも、「最初にこの本の企画書を上司に提出する際は、本の方向性をあまり断定しすぎない内容にしておいてください」とお伝えして。「まずは企画が通りやすい内容で出しちゃえばいいんですよ。通っちゃえば、あとで何とでもなりますから」って(笑)。

──今のそのやり取りからも、石井さんの仕事術が垣間見えた気がします(笑)。

石井:(笑)。でも、世の中の多くのプロジェクトがそうだと思うんです。最初の企画書はあくまで理想であり、そのままの形で進むことってほとんどない。だから、変化していくことも想定して進めていかなければいけないんですよね。ただ、大事なのは、理想形とはいえ、「この企画には現段階でこういった不安要素がある」と最初からマイナス面も明らかにしておくことなんです。優秀な上司であれば、必ず懸念点を見つけて指摘してきますから。そうなる前に、“自分も懸念点に気づいているし、対策も考えている”という姿勢を見せておいたほうが、より信頼を勝ち取れる。

──なるほど。確かに、準備はしっかりとしつつ、それとは別に、イレギュラーなことを想定したり、思わぬ事態にぶつかったりした際、いかにフレキシブルに対応できるかで、その後の仕事の仕方も変わってきますよね。

石井:そう。もっと言えば、とことんこだわるのも大事だけど、それを潔く捨てられる勇気も必要なんです。先日も、とある作家さんと十数話の物語を1年ぐらいかけて作る企画があったのですが、少し期間が空いたので、もう一度打ち合わせをした際、その作家さんから、「時代が変わってしまったので、あれはやめましょう」と言われたんです。しかも、すでにまったく違う切り口のものまで用意されていて。一見すると、それまでの打ち合わせなどに要した時間がまるで無駄のように感じられますが、本当に自分たちが作りたいものにこだわるのであれば、そうした“損切り”も、ときには大事なんですよね。

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