おかのひろふみ●1955横浜生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒。白水社にて演劇雑誌「新劇」の編集長をへて独立。演劇のことにもちょっと詳しい。『サファリ』『デジタルテレビガイド』『アサヒ芸能』『ハヤカワミステリマガジン』などに節操なくいろいろなものを連載。著書に国内外50本の名作戯曲を詳解した『高校生のための上演作品ガイド』(白水社)や、20世紀のベストセラーと話題本100冊を縦横に語った爆笑対談書評『百年の誤読』(ちくま文庫)、『百年の誤読 海外文学編』(アスペクト)、『読まずに小説書けますか 作家なるための必読ガイド』(メディアファクトリー)がある。 ⇒岡野宏文さんの本棚はこちら
はじめにお断りしておくと、本書は前にハヤカワミステリー文庫から出ていた『プレーグ・コートの殺人』とおなじ小説である。一度お読みになったかたはお求めになる場合ご…
小説・エッセイ
2013/3/21
書くのがむずかしい小説の双璧は怪談とポルノだろう。 怪談というのは、怖い出来事をそのまま書いてもちっとも恐ろしくない。「はい、そうですか」で終わってしまう。その…
小説・エッセイ
2013/3/19
宇宙になぜ我々が存在するのか。 魅力的なテーゼである。ぜひ知りたいと思う。それはこのテーゼが暗示する世界が大きいからだ。 風呂場になぜ我々が存在するのか。これで…
IT・科学・医学
2013/3/13
先行きの見えない時代に、インテリとか識者とかは死語になってしまった。聞こえてくるのは我田引水や牽強付会のだみ声ばかりだ。いや、いるのかもしれない、この時代の本…
2013/3/12
本記事は、2013年に公開したものです。 東日本大震災から2年。映像、写真、活字のなかでさまざまな報道がなされてきた。 被災地を訪れるテレビ番組では、被災後すぐの瓦礫…
2013/3/11
4つの短編が収められた1冊であるが、ほぼどれも人間への変態が描かれている。 切り落とした指が植物に移植されて少女になったり、タンスの取っ手や昆虫が人に成長したりす…
マンガ
2013/3/6
木嶋佳苗事件の100日の公判を追ったルポルタージュである。この事件がうろ覚えになってしまった読者もいるかもしれないのでざっと書いておこう。 逮捕当時34歳だった木嶋…
2013/3/1
タイトルが魅力的だ。「海老珊瑚」。じゃないと思う、少なくともそんな自堕落な洒落では。『abさんご』。なんのことだかよく分からない。分からないけどなにかの空気があ…
小説・エッセイ
2013/2/26
むかし、亡くなった井上ひさしさんに仕事場の理想的なあり方のお話を伺ったことがあります。それは「仕事場」というより、ある「場所」のことでした。 広めの「仕事場」と…
2013/2/25
著者は、現代の働く女性たちを「鉄の鎧を着た状態」とたとえる。筋肉も精神もこわばって、どれほどやさしい言葉も受けつけず、いかにあたたかいタッチにも心を開かない、…
小説・エッセイ
2013/2/23
少し前に小林多喜二の『蟹工船』がベストセラーになった。 蟹を獲って製品に加工する船に乗り込んだ主人公が、非人間的な過重労働を体験する物語だが、この船は工場でなく…
2013/2/21
現代人にはさまざまな娯楽がある。スマホ、映画、テレビ、海外旅行。目がまわりそうだ。ところが江戸時代の庶民には、楽しみというものがあまりなかった。せいぜい草双紙…
小説・エッセイ
2013/2/17
サプライズがあってかつソフィスケイテッドな短編集の私のベストを順不同に並べるとするなら、 『ベスト・オブ・サキ1・2』サキ(ちくま文庫) 『まっ白な嘘』フレドリッ…
小説・エッセイ
2013/2/15
森見登美彦節というのがある。森見登美彦セツではない。ブシである。 だいたい森見ファンはこの森見節に手もなくやられる。どういう節かというと、すました顔してボケをか…
小説・エッセイ
2013/2/11
幽霊、UFO、超能力、いわゆるチョージョー現象は科学で説明できないから存在しない。目に見えないものはすべてあり得ないと科学者は主張する。だがそれは傲慢な態度以外の…
2013/2/7
「我輩は本人である」という本が伸坊さんにあった気がして調べたら、なかった。ないのにある気がして仕方がない。それくらい伸坊さんは「本人」なのだ。よく分からないが…
小説・エッセイ
2013/2/3
ただ「生きる」のではなく「よく生きよ」。これは古代ギリシアの哲学者プラトン、ソクラテス、アリストテレスらの言葉だ。 「よく生きる」とは、成しうることを精一杯に、…
小説・エッセイ
2013/1/30
特異な身体感覚を身につけてしまった主人公が活躍するミステリーは、いくつかある。嗅覚が異常なまでに発達してしまったの井上夢人の『オルファトグラム』や、聴覚が消え…
小説・エッセイ
2013/1/26
『カラマーゾフの兄弟』がテレビドラマになったらしい。 それを聞いて、「よりによって世界に冠たるあの大文学を、テレビドラマなんぞにしさらして」と息巻くやからは、「…
小説・エッセイ
2013/1/19
SFは好きなジャンルだ。一番好きな作家は、カート・ヴォネガット。それからレイ・ブラッドベリ。フィリップ・K・ディック。マーク・トゥエインの『アーサー王宮のヤンキー…
マンガ
2013/1/18
戦争を扱った小説や映画にはどうも弱い。人の死が生々しいからだ。 『ひめゆりの塔』とか『黒い雨』とか『野火』とか、うわぁー駄目だ、指の間からしか読めない、見られな…
小説・エッセイ
2013/1/17
夏に東京都美術館の特撮ドラマ展を見に行った。 おもに「ウルトラマン」を中心にした特撮テレビの小道具や衣装などの展示で、ちょっと高揚したのであったが、なかに資材置…
小説・エッセイ
2013/1/9
ひさしぶりに高校の卒業写真集を眺めてほのかに思いを寄せていた人のことを思い出していた日暮れがた、帰宅の電車の中でバッタリその想い人に出くわす。そういう奇妙なこ…
小説・エッセイ
2012/12/30
『人間仮免中』というのは、明らかに太宰治の『人間失格』を意識したタイトルだ。ま、しかし、仮免なら路上運転はできるわけで、それほどに絶望的ではないと、私は読みな…
マンガ
2012/12/26
『ウルトラマン』に登場した二足歩行怪獣で、「ダッダァ~」と鳴くやつがいた。その名も「ダダ」。「ダッダァ~」と鳴く以外にどんな技を披露したのかまるで記憶になく、…
小説・エッセイ
2012/12/22
『ストロベリーナイト』、『ソウルケイジ』、短編集『シンメトリー』、『インビジブルレイン』、と続いてきたベストセラーシリーズ姫川ものの第5弾である。 ミステリーで…
小説・エッセイ
2012/12/11
『カジュアル・ベイカンシー突然の空席』は、「ハリー・ポッター」シリーズで空前のヒットを飛ばしたJ.K.ローリングが書いた、初めての「大人向け小説」だ。 イギリスの片…
小説・エッセイ
2012/12/9
映画論というより、偏愛するSF映画に対するオマージュとレビューというおもむきなの本なので気軽に読んでいただきたい。 著者はA級映画とB級映画の違いを次のように定義す…
2012/12/5
『悲劇の解読』というよりも「悲劇のお買得」といったほうがふさわしい本である。 吉本隆明の本は、そのほとんどが示唆に富み、スリリングで、鋭角的なため、「目から鱗が…
小説・エッセイ
2012/12/3
僕の大好きなロック・バンド、CCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)のナンバーに『サムデイ・ネバー・カムズ』っつう名曲があります。どういう歌詞かざっとご…
小説・エッセイ
2012/11/30
1
2
3
深夜残業でクタクタ…。部屋に入った瞬間、くろべぇ布団に倒れ込み朝を迎える/ブラック企業の社員が猫になって人生が変わった話6 ⑥
4
5
正体を知らずに王子がダンスに誘った女性は?/身に覚えのない理由で婚約破棄されましたけれど、仮面の下が醜いだなんて、一体誰が言ったのかしら?⑤
人気記事をもっとみる
レビュー
愛のない契約結婚が辛くて離婚を決意したけど… 口下手社長のギャップにときめく『冷徹社長の執愛プロポーズ』
PR
レビュー
「シュトレン」などスイーツで描かれる物語。インスタで評判になり、早くも続刊が登場した『ものがたり洋菓子店 月と私 ふたつの奇跡』
PR
レビュー
100均のしゃもじで小顔が作れる? 体全体のコリをほぐして頑張らずに小顔を作る方法とは
PR
レビュー
10万部突破 養老孟司氏の集大成的1冊。変化し続ける世界をうまく生き抜く哲学本『ものがわかるということ』
レビュー
花澤香菜、小林千晃らでTVアニメ化『花野井くんと恋の病』。恋を知らない少女と愛が重いピュアな少年のラブストーリー