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廃電車レクイエム: 昭和の空地にあった不思議なのりもの

廃電車レクイエム: 昭和の空地にあった不思議なのりもの

廃電車レクイエム: 昭和の空地にあった不思議なのりもの

作家
丸田祥三
出版社
岩波書店
発売日
2008-08-07
ISBN
9784000244435
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廃電車レクイエム: 昭和の空地にあった不思議なのりもの / 感想・レビュー

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なる

原っぱや団地の広場、街外れの雑木林などにポツリと置き去りにされている廃電車。使われなくなった電車の行き先として一旦は引き取られたものの、高度経済成長期、粗悪な素材で作られた車両はメンテナンスもされないまま投石や放火などで朽ち果てるだけとなってしまったその末路。当時の携わった人たちにとってこれらの廃電車が決して良い思い出だけではない、というのも意外。著者の写し取った記録もさることながら合間に挿し込まれるエピソードの数々がセンチメンタルを誘って想像した以上に切ない気持ちになる。そのほとんどが今はもう無い。

2023/09/05

えすてい

廃車写真とともに、著者のエッセイが挿入されており、昭和40年代・50年代の住宅街・団地と廃車車両のエピソードが綴られている。48ページの思春期娘エピソードは笑ってしまう。父親が個人で路面電車車両を譲渡されたが、庭にあることで娘はボーイフレンドからも「ち〇ち〇電車はあるのか?」と笑いながらストレートに問いかけ、他の男子からも「ち〇ち〇娘」とのあだ名をつけられ、困った娘は父親に電車を何とかしてくれと直談判。結局父親はせっかくの電車を・・。他にも民家の庭に置かれた電車の写真もあるが、やはり個人所有は困難だ。

2023/03/08

えすてい

公園・学校や幼稚園・公共施設・民家に設置されたものもある一方でスクラップ場・広場・港湾に置かれたり放置された車両の写真もある。その中で、オイルショックのあおりを受けて潰れたスクラップ工場に放置された名古屋市電もある。さらに、役所は高価な美術品は買うのに市民生活に密着した電車には金を出さなかったり、民間事業者でも自社に意義ある車両として保存予定車両のはずがバブル期に金をかけて部品を流用してレトロ電車を製造した挙句車体は放置となりやがて棄てられたというのもある。生活に密着したものを顧みない国民性なのだろうか?

2023/03/08

えすてい

写真は大半がモノクロであり、それがまた「廃電車」としての味を出している。ぼろぼろに錆び朽ちていく車両はカラーでは生々しすぎて、まるで「腐●×体」を見ているような感じになるかもしれないから、逆にモノクロが適しておりモノクロの味を楽しむ本でもある。さて、14ページ上段の写真は住宅街の公園で地域住民の集会所として使われている名古屋市電の車体だが、これは幸いなことに現存している。地域住民によって何度か塗装し直されており今も状態は良好だ。廃車は昭和31年である。

2023/03/08

えすてい

路面電車を中心に、著者が小学生から中学生時代(昭和40年代後半から昭和50年代前半)に撮影した、個人・団体・自治体などに譲渡された廃車車両、しかし、保存の維持管理はおざなりにされ廃車体の存在もやがて忘れ去られて厄介者にされた挙句結局朽ち果てて気が付いたら消えてしまったものを集める。路面電車車両を残したい思いと結局廃止されたので思い出したくもない思いが交錯する譲渡する側・される側、様々な思いがあるが、廃車車両・保存車両の維持管理には相当の覚悟とカネがかかるのだ。ペット飼育にもつながるかもしれない。

2023/03/08

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