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子どもと悪 (今ここに生きる子ども)

子どもと悪 (今ここに生きる子ども)

子どもと悪 (今ここに生きる子ども)

作家
河合隼雄
出版社
岩波書店
発売日
1997-05-20
ISBN
9784000260640
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子どもと悪 (今ここに生きる子ども) / 感想・レビュー

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寛生

【図書館】河合の「治療者の人間のあり方」からなされる〈解釈〉は、自らの存在そのものを賭け〈生・死〉を分けるかのような真剣勝負である。彼の〈解釈〉は常識を超えたものであり、大江のそれを思い出させると共に、度肝を抜かれるような感覚をもたされる。〈生きにくさ〉として死と隣り合わせにいるテクストは、河合の〈解釈〉によって大きく開花していく。〈悪〉の中にある、自殺、うそ、秘密から盗みまで、それらは決して歓迎されるようなものでないにしても、河合の〈解釈〉はそれらに常に創造の可能性と生きるエネルギーを見る。

2014/04/02

壱萬弐仟縁

やや古い本を分館から拝借。鶴見俊輔氏との出会いは、とても感動的であったという(6頁)。「創造性の高い人は自立的である」(18頁)。創造性は集団にどう還元したらいいのか、と思う。出る杭は打たれる、では、だめではないかと。心理学者としては、鶴見氏が自殺してしまうリスクもあったと分析している(24頁~)。生きながらえてもらってよかった。鶴見氏なくして、評者はとうの昔に、学問を断念していただろうから。想像する力がないと創造はできない(26頁)。大事な指摘。昨年のシナリオライトはまさに、そうであった。いじめが末尾。

2013/06/19

オカヤン

臨床心理士、河合隼雄。 自分の苦手な分野だった。真面目が一番いい、という先入観と人生観では乗り越えられない壁を感じた。あとがきより「表面の理屈でいつ限り、子どもが悪い、というのに抗弁できないが、それでは子どもがあまりにかわいそうだと、感じることが多すぎる。そんな子どもたちの気持ちを代弁する気持ちで、書いたようなところもある。自己表現のはじまりは、悪のかたちをとって現れることをよく知っていただきたい。

2017/06/06

くりこ

「子どもの幸福を願って」と大人がする善意という名の悪が子どもの不幸につながっていることが多いように思うという一文に大きくうなずきました。良い子にしようと悪を排除しすぎては、子どもは本当の意味での成長ができないのだろうと、自分の子育てを振り返り振り返りしつつ読みました。子どもの成長の可能性を信じて待つことができるようにならなくては。

2017/05/29

gami

自分の感じたことに正直になる、ということは、どの人間の心の中にある深淵な創造性、凶暴性、嗜虐性、理不尽とも向き合うことである。引用された文学から、子どもが妹(弟?)を、遊びの最中に未必の故意で殺しかけるシーンが引用される。でもこれ、わかるんです、私にもありましたから!私と違うのは、そのことを話せる人がいたこと、その人が「私にもそういうときがあった」と言えたこと。教育に正解はない。教育・ルール・常識は、ブラックボックスの我々が共に善く生きる為の手段でしかない。私は真面目に生きたいが、お互いの醜さも愛でたい。

2015/10/17

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