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性食考

性食考

性食考

作家
赤坂憲雄
出版社
岩波書店
発売日
2017-07-26
ISBN
9784000612074
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「性食考」のおすすめレビュー

「食べちゃいたいほど、可愛い」あられもない愛の言葉は「内なる野生」の呼び声か?

『性食考』(赤坂憲雄/岩波書店)  ヒトの体の中でもっともエロティックな部分は「口」だと思う。私たちの体の部分はそれぞれ特有の機能を持ち、その役割を果たす。目は「見る」、耳は「聞く」、鼻は「においを嗅ぐ」「呼吸する」。口の役割といえば、言葉を発するという行為を通じて「自分の考えを相手に伝える」、そして、飲む・食べるという行為を通じて「体外から体内へ栄養をとりいれる」。しかしそれだけではない。口は他に比べて圧倒的に能動的なテクニシャンだ。パートナーとの濃密な時間には、口全体や唇、舌、歯、ときに喉をも自在に用いて、くわえる、しゃぶる、吸う、なめる、噛むなどの手段で「相手をこの上ない快楽へと導く」。そう、口は「性具」となるのだ。

『性食考』(赤坂憲雄/岩波書店)は、民俗学・日本文化論の専門家である著者が「食べること/交わること/殺すこと」をテーマに、誰もがぼんやりと感じているが、真っ直ぐに論究していなかったことを試行錯誤しながらまとめたものだ。様々な文献を引き、伝承、神話、寓話、艶話…イザナキ、イザナミから宮沢賢治、そしてグリムまで、古今東西の性と食…

2017/11/24

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性食考 / 感想・レビュー

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starbro

朝日新聞の書評で興味を持ち、図書館に予約して読みました。赤坂憲雄、初読です。学者らしく、古今東西の民族伝承、寓話等を通じて『性食』を真面目に考察しています。著者同様、宮沢賢治の性教育講座は受けてみたかった。「食べちゃいたいほど可愛い」娘とつきあってみたいなぁ。今回は高尚な【読メエロ部】でした。

2017/12/22

honyomuhito

食べること、交わること、殺すことの因果関係について民族学、日本文化論学者が数多くの文献を元に述べる。どの内容について語っても何かに障ってしまいそうなタブーの塊のような内容だ。宮沢賢治は菜食主義者で童貞で病のため兵役免除されていたため、食と性と暴力から猶予された存在として、世界の隠された現実を視る人として「注文の多い料理店」「蜘蛛となめくじと狸」「なめとこ山の熊」など数多くの作品を作れたのだという意見は興味深かった。民俗学者は妄想力が強くないと出来ないなとも思いながら読了。

2018/04/29

りー

食と性の交わるところについて、民俗学から人類学まで縦横無尽にヒトの文化を紐解きながら人間の根源的な欲求に迫るスリリングな読書体験!たまらん!結論というようなものは無いけれど、「認識の交わるところにタブーがある」や自己と他者との距離感から見る性と食など、食と性という範囲から逸脱しても役立ちそうな考察もあって飽きずに読める一冊。人類学、民俗学の入り口としても良い書物。

2017/09/18

姉勤

平成最後のタイミングの読了。童話や宮沢賢治、古事記より牽き、食べること、そして性の、人間が、もしくは生物がもつ業のようなもの。それは現代の善悪や価値観では測れず、DNAに仕組まれた生存のプログラム。有性生殖自体が異物を取り込む、混ざり合うことで新しい命を発現する。それはオーラルな行動に象徴させる。愛情や劣情から相手を肉体に取り込む行為を、社会が犯罪やタブーと規定しているのは、戒めがなければ、簡単に発動してしまうからなのだろう。

2019/04/29

三柴ゆよし

食べる / 交わる / 殺すという三点が、文学、民俗学、人類学の成果と、赤坂憲雄という叡智が織りなす連想によって結ばれていく軌跡があまりに刺激的。本書の主要テーマ、すなわち食と性とは、自分のなかでも関心の大きな比重を占めており、楽しいのは当然なのだが、その底流には、311以後、著者が主なフィールドとしてきた東北において急速に露になりつつある〈内なる野生〉という問題が横たわっている。なるほど今後、人文学はこういうところにもっと深く分け入っていかねばならないはずだ。この界隈の書物では近来最もおもしろく読んだ。

2017/10/19

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