KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

力と交換様式

力と交換様式

力と交換様式

作家
柄谷行人
出版社
岩波書店
発売日
2022-10-05
ISBN
9784000615594
amazonで購入する Kindle版を購入する

「力と交換様式」の関連記事

善を信じる欲求こそが悪政を正す。作家・島田雅彦が選んだ「いまの時代こそ読みたい3冊」【私の愛読書】

 さまざまな分野で活躍する著名人にお気に入りの本を紹介してもらうインタビュー連載「私の愛読書」。今回、ご登場いただいたのは、『時々、慈父になる。』(集英社)を刊行された作家の島田雅彦さん。作家生活40周年を迎える島田さんがセレクトしてくれた本は全部で3冊。一体どんな本なのか、さっそくお話をうかがった。

(取材・文=荒井理恵、撮影=桐山来久)

歴史の重さを痛感する『紙の世界史』

『紙の世界史』(マーク・カーランスキー:著、川副智子:翻訳/徳間書店)

――最初の一冊は『紙の世界史』(マーク・カーランスキー:著 川副智子:翻訳 徳間書店)ですね。

島田:私は一種のマテリアリストで素材に対するフェティシズムがあるんですね。これは「紙」の歴史について書かれた本で、紙は軽いけれど、その背後にある歴史というのは極めて重いものだと痛感させられました。もともと中国で発明された紙は門外不出の技術だったものがペルシャに伝わり、さらには13世紀にヨーロッパに伝わり、のちには紙幣にまで発展していきます。出版文化においても紙の時代がとても長く、1455年のグーテンベルク聖書が活版…

2023/7/7

全文を読む

関連記事をもっと見る

力と交換様式 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

壱萬弐仟縁

E図書館。交換において、物は≪感覚的でありながら超感覚的な物に転化してしまう≫。商品の価値とは、物に付着した何かである。マルクスはフェティシュ(物神)と呼んだ(21頁)。小生は、エミール・デュルケームの社会学で初めて学んだことを想起した。マルクスがフェティシズムについて知ったのは、1842年にシャルル・ド・ブロス『フェティシュ諸神の崇拝』をよんだとき。ド・ブロスが最初に提起したフェティシュ概念。元来、アフリカの護符・呪物崇拝。言語起源は、feticoはラテン語のピジン語(27頁)。カントは世界戦争を予感。

2023/05/12

ta_chanko

交換様式から世界を観る、柄谷行人の思想の集大成。A贈与と互酬=共同体、B支配と分配=国家、C等価交換=市場。この3つが相互に作用することで、その時代がつくられる。そして時代の危機に瀕したとき、D=交換様式Xが出現する。それは人々が望んで到来するようなものではなく、強迫的に訪れるもの。Aが高次元で回帰したもの。一時的なトレンドで終わるものではなく、パラダイムシフトを引き起こすものになる。CやBが支配的な世界において、自由・平等を回復しつつ危機に対応できるシステム。新たな普遍宗教的な信仰の到来と、行動の転換か

2022/12/08

呼戯人

否応なく到来する未来としての交換様式Dは、歴史的にはイエスや釈迦、孔子やソクラテスとして現れてきた。それは、終末や徳を論じている人々である。しかし、1848年以降、資本=ネーション=国家の複合体として現れてきた交換様式A=B=Cへの対抗として、社会主義の科学である資本論以降のマルクスやエルンスト・ブロッホの登場によって、交換様式Dの姿がはっきりと現れてきた。「今後に戦争と恐慌、つまりBとCが必然的にもたらす危機が幾度も生じるだろう。しかしそれ故にこそ、Aの高次元での回復としてのDが必ず到来する」

2022/11/22

シッダ@涅槃

マルクスやその他、ホッブズ、エンゲルス、ブロッホらの議論がこの時代にこんなにビビットに響くなんて。◆柄谷さんのテーマを持った単著は『倫理21』以来約20年ぶり。『倫理21』周辺では、誤読恐れずに言えば「個々人の目覚め」にかけていたような印象がある。しかしこの本では「力(霊力)」の様々な「交換様式」にフォーカスしており、特に前者は人の企図や意志力ではどうにもならないものと捉えられている。それらの分析こそが肝要ということ。◆「揚棄」を以前「廃棄」と同じ意味で読んだことがあるが、それでも間違いなさそう……。

2022/12/09

hasegawa noboru

示される壮大な知の体系を前に「柄谷行人もずいぶん角が取れて、字面を追う限りにおいては、私ごときにも分からぬではない文章を書きなさるようになった」と愚にもつかぬ感想をまず吐くばかりだ。中身についてはカバーそでのコピー文が簡潔にして要を得る。<『世界史の構造』から一〇年余、交換様式から生まれる「力」を軸に人類史を再考し、柄谷行人の全思想体系の核心を示す。戦争と恐慌の危機を絶えず生み出す資本主義の構造と力を明らかにし、呪力(A)、権力(B)、資本の力(C)が結合した資本=ネーション=国家を揚棄する「力」(D)を

2023/09/15

感想・レビューをもっと見る