大衆文化の原像 (同時代ライブラリー 135)
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大衆文化の原像 (同時代ライブラリー 135) / 感想・レビュー
Gen Kato
「死に向って確実な一歩を踏み出すまで、人間はでたらめでいい加減なものであるより仕方がないということにもなる」…半世紀も前に書かれた評論集ですが、当時の「現在」がいかにして今ある「現在」に繋がっているかが想起され、興味深いです。ことに『戦争と映画』は予言的でゾッとしました。「太平洋戦争の回想は、英雄的な敗北として、美しく悲壮なベールにつつみこんでゴマ化すことができる」。そうした少年戦記物で育ったであろう戦後世代が、まさに今、国の指導者になっているのでは…
2014/08/10
星規夫
映画・漫画・児童雑誌に関する佐藤忠男の初期論文集。低俗とされる通俗文化の力強さや、その歴史の根底に流れる日本人の封建的精神が指摘されており、「こういう見方があるんだなあ」と感心させられる。インテリや「高尚」芸術の批判には時々カチンと頭に来ることがあったけれど、そこも含めて自分の文学(芸術)観を再考する必要があるのかなあ、と思った。
2012/05/18
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