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山椒大夫・高瀬舟 他四編 (岩波文庫 緑 5-7)

山椒大夫・高瀬舟 他四編 (岩波文庫 緑 5-7)

山椒大夫・高瀬舟 他四編 (岩波文庫 緑 5-7)

作家
森鴎外
出版社
岩波書店
発売日
2002-10-16
ISBN
9784003100578
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山椒大夫・高瀬舟 他四編 (岩波文庫 緑 5-7) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

「山椒大夫」は、周知のように説経浄瑠璃「さんせう太夫」を底本とした翻案小説である。典拠との大きな違いは、以下の諸点を捨てたことにある。①金焼地蔵の御本地の物語、②数々の奇跡、③自力では動けなくなった厨子王を土車に乗せ、民衆たちが次々と都送りをする場面(説経「をくり」にも同様のシーンがある)、④竹鋸による復讐のシーン。これらはいずれも中世色が濃厚であるため、捨てたこともわからないではないが、この物語の本質はむしろこちらにこそあった。では、これらを捨てたことで近代小説になり得たかというと、それもまた疑問だ。

2016/05/29

ケイ

鴎外の『大塩平八郎』の最後に述べられていた自身の見解がとても良かったのを覚えている。高瀬舟の最後にもある考察からも、鴎外の真面目で情が深く見識ある考え方がよくわかる。『最後の一句』『じいさんばあさん』でも、彼の考え方がよく見えていい。人とはどうあるべきかをよく考えた人だったのだろう。安楽死はいかにあるべきか、人は人をどう裁くか、死罪を申し渡すにはそれだけの吟味をしたのか、人の幸せとはまた夫婦の幸せとは何か、彼はといかけているのだが、その問い方が優しく、読む者を微笑ませる。

2014/12/10

GaGa

中学だか高校だかで、この作品集に収録されている「最後の一句」という作品が国語の授業で出た。もう、正直訳がわからず、周りの奴らもその難解さに頭を抱えていた。そんなある種のトラウマを抱えて読み返してみると、今ならうっすらと判る気がする。でも、やはり十代で理解するにはさすがに難しすぎるのではないか。でもお蔭でこうして読み返してみるきっかけにはなったが(笑)

2010/11/30

Y2K☮

森鷗外。「舞姫」以外は好きじゃなかった。横文字が鼻につくという理由で(笑)でも納得した。まだ日本語として熟れていない概念が多い時代だったのだ。安楽死や献身など(現代でも尊敬とリスペクトは微妙に違うかと)。表題作よりも「じいさんばあさん」が巧い。時間軸の効果的な使い方を学べた。「寒山拾得」は拍子抜け。やや筆を殺し過ぎ。解説に感謝。120点から落第点まで幅の広い六編。商業主義を嘲笑う様な完成度のバラつきが逆に頼もしい。耐え凌いで天寿を全うする反逆の作家が居てもいい。28歳で死なずともロックはずっと歌えるのだ。

2019/02/17

chanvesa

「高瀬舟」、高校の現代文の授業でも「知足」の話が出てきたが、当時違和感を覚えた。知足は喜助の精神構造の一要素だが、壮絶な死の場面の二次的な要素ではないかと。今回二十数年ぶりに読み直してもあまり変わらず、むしろ弟が生の足るを知ったことで自死の正当化をしてしまうではないか(簡単に解決できない問題を歪めてしまう)。自身の行為に煩悶するのではなく、悟りきったかのように与えられた二百文を本手にした為事が楽しみとは、ニヒリズムと言えなくもない。普通は冒頭に出てくる心中失敗男のような「心得違い」系ばかりだったのだ。

2015/11/15

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