平凡 他6篇 (岩波文庫 緑 7-2)
平凡 他6篇 (岩波文庫 緑 7-2) / 感想・レビュー
康功
この小説の表紙写真の二葉亭四迷は、ロシアの帽子をかぶっていた。また、中学校の歴史の教科書に、坪内逍遙の小説神髄、二葉亭四迷の浮雲と、あったことを記憶している。平凡は、四迷の自伝と言う事から、非力な私でも読めそうな気がした。小説家が、実家の両親に文学の意義を解くのだが、納得させる前に、天国へ行ってしまった。両親の死をきっかけに、小説を書く気持ちが薄れ、文学とは、人生とは、と途方に暮れる四迷に、何か普通の人間、平凡な人間に対する親近感を感じて読了した。
2016/12/16
;
名作とか、傑作とかいう感じではないけど、すごく良い小説だと思う。解説で中村光夫がいっている通り、いい意味で文学的じゃない。
2017/08/10
ムー
犬の話は思わず泣けてきた。昔は犬殺しなるおじさんいたなぁ。二葉亭も苦学したんだな。それにしては早逝だった。 面白かった。
2017/07/07
gu
「・・・・・・が、待てよ。何ぼ自然主義だといって、こうどうもダラダラと書いていた日には、三十九年の半生を語るに、三十九年掛かるかもしれない。も少しはしょろう。/で、唐突ながら、祖母は病死した」書き続けた作家と同じかそれ以上に、書けない(書かない)作家は興味深い。文学などを大真面目にやることへの気恥ずかしさと、書くこと自体への懐疑があったらしい。そしてそもそもの始めから、日本語文学と翻訳は切り離せない関係にあったらしい。「言文一致を書」くという言い回しが面白い。一通り読んでみたい。
2015/10/29
いるる
『平凡』(1907)「近ごろは自然主義とかいって、何でも作者の経験した愚にも付かぬ事を、いささかも技巧を加えず、ありのままに、だらだらと、牛の涎のように書くのがはやるそうだ。よい事がはやる。わたしもやっぱりそれで行く」体験を告白し、それを高尚だと考えている自然主義作家たちへの皮肉がこの作品には多分に含まれている。そして自分なら平凡な主人公でも芸術性の高い作品を作ることができるという四迷の自負が見える気がする。読んでみると、なるほど自伝(虚構)の合間あいまにエッセイっぽい話が挟まっていたりして、面白かった。
2015/10/18
感想・レビューをもっと見る
「二葉亭四迷」の関連作品
お金本
- 作家
- 夏目漱石
- 国木田独歩
- 泉鏡花
- 下中 弥三郎
- 佐藤 義亮
- 永井荷風
- 正宗白鳥
- 種田山頭火
- 小川未明
- 辻 潤
- 金田一京助
- 山村暮鳥
- 北原白秋
- 武者小路実篤
- 萩原朔太郎
- 石川啄木
- 谷崎潤一郎
- 石川 武美
- 葛西善蔵
- 菊池寛
- 内田百閒
- 室生犀星
- 夢野久作
- 直木三十五
- 芥川龍之介
- 渋沢 栄一
- 小泉八雲
- 二葉亭四迷
- 正岡子規
- 田山花袋
- 野間 清治
- 左右社編集部
- 吉川英治
- 江戸川乱歩
- 金子光晴
- 加藤 謙一
- 吉屋信子
- 宇野千代
- 横光利一
- 井伏鱒二
- 川端康成
- 壺井栄
- 石川淳
- 三好達治
- 稲垣足穂
- 草野心平
- 森茉莉
- 羽仁 説子
- 山本周五郎
- 小林多喜二
- 堀辰雄
- 幸田文
- 平林たい子
- 坂口安吾
- 高見 順
- 太宰治
- 白洲正子
- 森敦
- 織田作之助
- 柴田錬三郎
- やなせたかし
- 山田風太郎
- 鶴見俊輔
- 遠藤周作
- 池波正太郎
- 吉行淳之介
- 立原正秋
- 北杜夫
- 羽仁 進
- 田辺聖子
- 野坂昭如
- 小松左京
- 有吉佐和子
- 石原慎太郎
- 赤塚不二夫
- つげ義春
- 赤瀬川原平
- 石ノ森章太郎
- 佐野洋子
- 南伸坊
- 北野武
- 橋本治
- 村上春樹
- 忌野清志郎
- 中島らも
- 魔夜峰央
- 有栖川有栖
- 山田詠美
- 町田康
- 穂村弘
- 角田光代
- 村田沙耶香
- 出版社
- 左右社
- 発売日
- 2019-11-01
- ISBN
- 9784865282511