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子規歌集 (岩波文庫 緑 13-3)

子規歌集 (岩波文庫 緑 13-3)

子規歌集 (岩波文庫 緑 13-3)

作家
土屋文明
出版社
岩波書店
発売日
1986-03-17
ISBN
9784003101339
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子規歌集 (岩波文庫 緑 13-3) / 感想・レビュー

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新地学@児童書病発動中

正岡子規の歌をまとめて読むのはこれが初めてだった。古語が多く使われているので、やや読みにくいが文脈から意味は類推できる。写生に徹した歌が多くて、まっすぐで力強い印象を受けた。それでも写生にこだわり過ぎて、普通の散文のようになっている歌もある。友人や弟子たちにあてた歌は、挨拶として読めるのだがユーモラスな内容のものや寂しさを表現したものもあって、生身の人間としての子規を感じることができた。

2015/03/15

壱萬弐仟縁

病中一首。「夜毎夜毎 初夜打つ頃を 左(ひんだり)の足 いたみいでて 時鳥(ほととぎす)なく」(24頁)。他の岩波文庫でも子規は病中で いろいろと文化活動をしていたと思うので、痛みに耐えて、自分の声を鳥に代弁させていたかのような印象をもった。「露國に行く人に一首」で、「木曾山の 山の峡(かひ)より 我行けば 笠の端(は)わたる 五月雨の雲」(28頁)。「日暮里村諏訪神社」で、「村つづき 青田を走る 汽車見えて 諏訪の茶店は すずしかりけり」(40頁)。 

2014/07/18

kaizen@名古屋de朝活読書会

明治十五年 壬午の夏三並うしの都にゆくを送りて 隅田川堤の櫻さくころよ花のにしきをきて帰るらん に始まる。 今昔秀歌百撰では68番に選ばれている  獄中の鼠骨を懐ぶ くろがねの人屋(ひとや)の飯(いひ)の黒飯(くろいひ)もわが大君(おおきみ)のめぐみと思へ なお、同じ文脈で 四月十四日(鼠骨の出獄を祝す) くろがねの人屋をいでし君のために筍鮓をつけてうたげす 鼠骨入獄談 くろがねの人屋の門をいでくれば桃くれなゐに麦緑なり がある。

2013/04/21

てんちゃん

やっと、読み終えた…。古語が多く、どこで言葉を区切ったら良いのかさえも分からない歌が多くて…。自分の国語力の無さを痛感(T-T) でも、がんばって一冊読んで見えてくるものもある。病で床に臥せった暮らしだったからこそ、人との繋がりを大切にし、床から見えるガラス戸越しの牡丹や山吹を丹念に観察し、思いを寄せる細やかな心模様。病床にあっても、そこから広がる精神活動は無限大。夭折した歌人の功績の大きさに垣間ふれることができた。

2015/09/06

ロビン

明治の世で短歌改革の戦いを生きた子規は、結核性脊椎カリエスの苦しみに身をよじりながらも「神の我に歌をよめとぞのたまひし病ひに死なじ歌に死ぬとも」と歌い、多くの俳句・短歌を残した。夭折したこともあり「恋に縁なき」子規ではあったが、漱石や碧梧桐、鼠骨、左千夫らの温かい友情に包まれていたことが歌からよく伝わってくる。多くは自然の風物を歌った子規だが日清戦争に従軍記者として参戦した時の歌や、野球についての歌も残している。ある親孝行の青年を詠んだ「みちのくの岩手の孝子名もなけど名のある人に豈劣らめや」もよい。

2021/04/18

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