読みたい本がここにある

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

多情多恨 (岩波文庫)

多情多恨 (岩波文庫)

多情多恨 (岩波文庫)

作家
尾崎紅葉
出版社
岩波書店
発売日
2003-04-16
ISBN
9784003101476
amazonで購入する

多情多恨 (岩波文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

モリータ

いつの時代に読んでもよい、普遍性をもったいい小説だと思う。登場人物が葛藤を抱えていること、何かのきっかけで変化していくということは、小説のリアリティでありおもしろみだと思っている。こういう「病気」になったり失くしてしまったものへの執着で狂気したことがない人には理解不能だろうが、女々しい自分としては、柳之助に共感できるところもあれば、できない(さすがに女々しすぎる)ところもあり、だからこそ心が軽くなる。微笑みたくなる文が随所にあるし、起承転結もはっきりしていてうまいなぁと思う。3人の劇にしてもおもしろそう。

2014/07/14

スリーピージーン

「金色夜叉」しか知らなかった尾崎紅葉を初読み。こんなに面白いとは意外でした。登場人物がユニーク。主人公は現代でもいそうなメメしい男(たぶん30代くらいの大学教授)だが、現代の常識では考えられないことをしでかす。イタいことこの上ない。しかし読み進むうちになんとも情がわいてくる。お種さんもこんな気持ちだったのか?と思わせる。幼い子と舅の世話をし、夫が連れてきた居候の世話まで。お種さんに同情します。このあと二人はどうなったのだろう?挿絵も見ごたえのある本でした。改版の文庫が出ていて読みやすくて助かった。

2015/05/01

ソングライン

愛する妻を突然の病で亡くした男が、その喪失感に苦しみ泣き暮らす姿が描かれる長編小説です。毎日墓参りを欠かさず、妻の肖像画を創り、それを部屋に飾り頬ずりする、その異常さを心配し、自宅へ下宿させる親友夫婦。違和感満載の設定ですが、主人公の再生への過程に次第に引き込まれていきます。

2018/10/12

きりりんご

溺愛する妻に先立たれ絶望の淵に沈む柳之助は一人でいることに耐えられず、唯一の親友である葉山の家に居候をする。 人嫌いで寂しがり、純粋で愚鈍な性格は、義母やその家族、葉山や妻のお種を振り回し、哀れに思われ呆れられるもそんなことは露知らず、妻によく似た油絵を眺めては涙を流し、帰らぬ人とは知りつつも、騒ぐ胸は抑えられず。 情けないその姿に辟易しつつも、葉山やお種の優しさに溜息が出る。彼の自分勝手に腹立つこともあるが、当時の人々がどれほど義理や人情を大切にして生活をしていたかがよく分かる素晴らしい小説であった。

2019/02/03

葛西狂蔵

何故ここまで見事な言文一致体を完成させておいて『金色夜叉』をこの文体で書かなかったのだろう。当時どう読まれたのか判る筈もないが、今読むと終始グズグズ嘆いている主人公は悲痛と云うよりは寧ろ滑稽ですらあり、ほのぼのとした味がある。お種の印象を好転させるきっかけが所謂ギャップと云うヤツであったり、抜けなくなった指環を抜こうとするどさくさ紛れに小脇に抱いてしまったり等、少女漫画の如くの普遍的手管に個人的ににやけさせられた。何より印象的なのは、色艶話の様でいて色艶に安易に傾かない著者の強固な倫理観。

2017/05/08

感想・レビューをもっと見る