歌行燈 (岩波文庫 緑 27-2)
歌行燈 (岩波文庫 緑 27-2) / 感想・レビュー
Tonex
桑名が舞台。弥次喜多ごっこを楽しむ2人の老人の話と、放浪の門付け芸人の話が並行して語られ、最後に一つに交わる。▼名作。面白いが、意味のわからない表現が多く、十分に理解できたとはいえない。久保田万太郎が解説を書いているが、単なるエッセイで、内容の理解にはまったく役に立たない。外国文学の翻訳書のように、日本の小説にも読解の手助けになるような解説や注釈をつけないと、泉鏡花なんて誰も読まなくなってしまうと思う。▼ネット検索したら「Yahoo!知恵袋」に「歌行燈」の解釈について質問と回答があり、非常に参考になった。
2016/04/07
井月 奎(いづき けい)
芸事、芸術は人知を越え、ともすると神をこえることすらあります。この物語では能における芸事、謡と囃子、そして舞の名人が現れます。それぞれが場所と時が離れても作用しあう不思議(それは芸術がもつ力の一つです)を書きだして、その力は人の思いや考えなどには微塵も左右されません。その力とて畏怖の念をもち敬いながら接すれば人の命を照らしてくれるのです。行燈はその光によってまわりの美醜を照らし、不用意に使えば見なくてもいいもの、知ってはいけないものも照らしてしまうのです。芸は光でありそれ自体は善悪のどちらでもないのです。
2016/09/18
えも
蔵書(岩波文庫・1980年第37刷)の再読▼さすがは鏡花!どこを取ってもリズミカルで匂い立つような美文。場面が交互に展開する構成も見事▼本当に久し振りに読んだので、冒頭が、愛知の伝統野菜「宮重大根の…」で始まっていたのに吃驚でした。
2014/10/23
メタボン
☆☆☆ 文章はすごくいいのだが、いかんせん知らない言葉が多いのと、登場人物の主語が曖昧なのとで、物語の筋が半分も理解できなかった。精進不足。ところどころ映像的な描写がある。現代語訳を読んで、再度チャレンジしたい。
2015/07/13
さきん
旅人が桑名にて宿を取る。ところが様々な出合いが重なって昔の因縁がよみがえってくる。最初、東海道中膝栗毛の引用から始まり、何やらよくわからない難解な会話が飛び交ったが盲目のマッサージ師、安摩を起点に話が涼解しはじめた。最後の能的な盛り上がりは圧巻。
2016/12/15
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